2009年9月2日水曜日

こしのゆみこ『コイツァンの猫』5

夢のように漂う こしのワールドの登場人物は、じっさいよく寝ます。

さみだれや猫の話で眠ってゆく     こしのゆみこ
昼寝する父に睫のありにけり
ころりころりこどもでてくる夏布団
少し遅れ家族の昼寝にくわわりぬ
昼寝する指は望みをつかみそう
だいどこのおとはまぼろしひるねざめ
したたりのことりと鳴りて目の覚める

 「昼寝する~」から「~目の覚める」までは、句集の配列そのままの昼寝六連発です。ひらがなのみで記述された「だいどこのおとはまぼろしひるねざめ」の夢うつつな感じな感じをみていると、「こしのゆみこ」というひらがな表記さえ夢うつつに思われてきます。冗談はさておき「したたりのことりと鳴りて目の覚める」の表記のにくいこと、目が覚めるに従って漢字が増えてゆきます。

 しばらくおいて、昼寝/睡眠の句はまた出てきます。

くつひものほどけしごとき昼寝かな
仕舞湯のごとく昼寝のおわらない
昼寝覚なくなっている恋心
門番は午睡の時間ゆるされて
捕虫網のゆらゆらとある寝入りばな
昼寝する君の背中に昼寝する
葉っぱ鳴って人ら眠りぬ夏木立
サングラス眠りし口のあどけなく
ひとりずつ部屋を出て行く熱帯夜
寝返りを打つたび見える滝の筋
夏座敷寝返っても寝返ってもひとり

 季節が変わっても、お構いなしに眠り続けます。

眠り猫からだまるごと無月かな
露つけて帰りし姉の深く眠る
雪音のやがて耳から眠ってゆく
冬日向眠り続ける犬の親
桃咲いてぼおんぼおんと人眠る
いたくないかたちに眠る花月夜

 ますます夢のようなこしのワールドなのです。

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