2011年12月23日金曜日

九吟歌仙・既望の巻

週刊俳句の佐山哲郎『月姿態連絡乞ふ』に対する拙感想文『月真下』から派生した連句の二巻目。

   既望とはフォボス・ダイモス順不同  佐山哲郎
    両側に立つ大道芸人         ゆかり
   霞み晴れさてはおはこを取り出して   のかぜ
    春の水ゆゑ両手浸さん         月犬
   白魚のやうな指持つ名外科医       ぐみ
    錆びたナイフにあかつきの風      銀河
ウ  軍団はカレーライスで名を売れり     なむ
    歯は真っ白で髪はゴ-ルド        七
   地球儀でフィアンセの住む国を指し     篠
    Skypeで逢ふことももどかし        令
   梅雨の闇なる真つ黒のただの闇       り
    手さぐり傘で唸る鼻唄          ぜ
   珈琲と牛酪の香り満ちあふれ        犬
    静かの海へ食後の散歩          み
   蹴り飛ばす地球太陽もうひとつ       河
    日永の部屋のぼく独裁者         む
   ガニメデは眼のある花が咲くと云ふ     七
    オリュンポスより望む大凧        篠
ナオ 暮るるまで良寛さんをさがしたる      令
    つぎつぎ揚げるなすび獅子唐       り
   味を出す水と油の君と僕          ぜ
    アラブの姫は秘術尽して         犬
   蜜月は新惑星へ行きませう         み
    爆破しないで目的地まで         河
   助手席に居残る熊の縫ひぐるみ       む
    春の大曲線を訪ふ            七
   紅梅のあふれて音のない茶室        篠
    賜死ののちにも雛の飾らる        令
   どの月も十六夜である天王星        り
    海贏うち回し耳を引かれて        ぜ
ナウ その角を曲がれば見えてくる旧家      犬
    竿竹売りの絶えて久しく         み
   葦晴れて下流デルタに田鶴の声       河
    盤景に見る日本原形           七
   弓を引く頬に落花のとめどなき       篠
    海市の中にルナパーク佇つ        令

起首:2011年11月22日(火)
満尾:2011年12月23日(金)
捌き:ゆかり

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