正木ゆう子さんの第四句集『夏至』(春秋社)。ときとしてユーモラスに、ときとしてとんでもなくマクロに、作者の視点は自在です。 いかにも正木ゆう子ワールドというボキャブラリーとしては進化、微生物、人類、公転といったところでしょうか。それらの言葉が俳句の中で息づくさまを見てみましょう。
進化してさびしき体泳ぐなり 正木ゆう子
つるつるの肌を持った人間の深い性を感じます。
一枚の朴葉の下の微生物
朴落葉を詠んだ句は史上さまざまありますが、それをめくって微生物を詠んだ句はかつてあったのでしょうか。生態系へのまなざしを感じます。
つかのまの人類に星老いけらし
星の生命に比べれば、ほんとうに人類などつかのまのものに過ぎません。
公転に遅れじと春の大気かな
本句集の挙句。中八にたるませたところが句の内容とマッチしていて、とてもマクロな把握でありながらユーモラスに仕上がっていて、さすがです。
秋といふ天の轆轤を見てしまふ ゆかり
0 件のコメント:
コメントを投稿