句の配列とかキーワードに関して、正木ゆう子は『夏至』の後書きで違和感を覚えるほど種明かしをしています。曰く、
①編年体にせず、連句の構成をわずかに意識したこと。
②「恋の座」を設けたこと。
③佐世保の鷹渡り、ノルウェーとロシアの旅吟、家族を詠んだ句、国内の旅などを制作年度を無視してそれぞれ一か所にまとめ、章として立てたこと。
④その章をおよそ季節の順に置き、章の中でさらに季節を追うようにしたこと。
⑤前作『静かな水』で月と水をテーマにしていたのに対し、今回は太陽を中心に据えたこと。
例えば、次のような配列は確かに「連句の構成をわずかに意識した」妙味があります。
牡丹焚火まづは鼎に組みにけり 正木ゆう子
幻の花噴き上げぬ牡丹榾
瀬を早み岩のかげなる氷柱かな
白い山うすずみの山雪の国
雪山の闇夜をおもふ白か黒か
熊を見し一度を何度でも話す
鯨鯢の胴を接して眠る夜か
潜水の間際しづかな鯨の尾
追記
「連句の構成をわずかに意識した」配列といえば、村井康司が三橋敏雄『真神』について言及しているのを思い出します。
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