2009年8月24日月曜日

題詠二十句

飯田橋・ルノアールで二人だけの句会でした。

【蜩】  頭の中で蜩が巻く夜の螺子     ゆかり
【芙蓉】 茶髪子の擬態としての芙蓉かな
【星月夜】たましひの星月夜めく汀かな
【稲妻】 稲妻の忍耐ここに極まれり
【露】  結露する窓に相合傘を書く
【小鳥】 旋回の小鳥の群は色を変へ
【蜻蛉】 蜻蛉に囲まれ水の中と思ふ
【葛】  真葛原はじまる場所を居と定め
【秋刀魚】秋刀魚いざ進め斬つても斬つても水
【鹿火屋】暁闇の鹿火屋に妻と鹿火屋守
【鈎】  鈎で吊り目方を測る蕃茄かな
【筧】  筧這ひ水琴窟を目指しけり
【籠】  行く夏やモスバーガーの白き籠
【瓦斯】 瓦斯管の切りたての螺子天高し
【框】  新涼や框にわたす鯨尺
【剃刀】 太腿のための剃刀夜の秋
【硝子】 音のなき硝子の向ふ色鳥来
【厠】  ふたつある厠のひとつ青大将
【閂】  たくましき閂釣瓶落しかな
【厨】  就中厨は四角涼あらた

 ちなみに【鈎】~【厨】は宗田安正監修『俳句難読語辞典』(学研)からの出題です。一見チープな体裁ですが、例句がすばらしいです。問答無用でお買い求め下さい。

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