2011年12月18日日曜日

些末の快楽/擬態語の快楽

サングラス砂を払ひて砂に置く 齋藤朝比古
足の指開きて進む西瓜割

 優れた写生俳句の詠み手は、またどうでもいいことを実に細かく見ています。こういう句の「あるある」感、「やられた」感は格別のものです。

 さて、真に優れた本格派剛速球投手が何種類も変化球を必要としないように、齋藤朝比古の句風にもバリエーションらしきものはあまりありません。そんな中でチェンジアップとしてたまに投じられるのが、ほとんどアンバランスと言ってよいチープな擬態語の使用です(『俳コレ』では選者の趣味なのか、目が慣れるくらいの配球となっていますが…)。

錠剤をぺちと押し出し春灯      齋藤朝比古
ロボットのういんがしやんと花は葉に

 そんな中では

砲丸の落ちてどすりと冬深む 齋藤朝比古

が、語順の確かさとあいまって、胸を打ちます。

5 件のコメント:

  1. 思わず「イイネ!」を押そうとしたが、なかった。
     イイネ!

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  2. ゆかりさん、良いこと言ってます。

     鳴ってしまう風鈴を、ゆっくり丁寧に、鳴らさないようにしまう人です。
     実に微に入り細をうがつ方です。

     私の近しい世界では、しょっちゅう『オーディション』と称した
    芸人のネタ見せをやってますが、今回の『俳コレ』は、22名の俳人のネタ見せの一種かと思っています。

     芸人には、オーディションで100%出す人と、大事なネタは隠して70%出す人といます。それは彼らの戦略です。

     もしも、この『俳コレ』がネタ見せ的なら、やはり詠んだ俳人自ら選句されるべきかと考えます。

     それと、この本を購入した人から見ると、詠み人も選者も責任者ではなく、44人が「頼まれたので」ということになる。
     さっき会っていた人たち、川柳の人たちだが、彼らに、巻末のこの(ナビゲーター)5名がリーダーなの?と聞かれ、返答に困ってしまった。これって70年代の組織論では…。

     しかしなにより、朝比古さんやうさぎさんのような若い才能が世に出るきっかけになったことは事実だし、そちらを最優先で喜びたい!次は句集ですね。

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  3. 「責任者」って、「週刊俳句」編では駄目なのですか?
    「70年代の組織論」というのが何をさすのか、よく分からないのですが…。

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  4. 私の書き方がわるいですね。

     「週刊俳句」というのがよく分かりませんでした。
     実体のない組織かと思いました。

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  5. ひゃあ、意外な結末ですね(^^);

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