2022年7月9日土曜日

掲示板過去ログ163

 2019年 1月10日(木)15時59分9秒から2019年 1月21日(月)08時10分57秒まで。




都都逸  投稿者:媚庵  投稿日:2019年 1月21日(月)08時10分57秒

  風牙さんの四三調の話興味深く拝読いたしました。

原題短歌ではもはや四三調は避けるべきというようなルールは

もはや誰も気にしていないように思います。

前衛短歌が句割れ、句跨りの技法を多用したことで、そういう古典的な規範が

忘れられていったのかもしれません。


で、ちょっと思い出したのが都都逸。

七七七五の詩形ですが、これのルールが下記のようなものです。


にしん来たかと  三・四

カモメに問えば  四・三

わたしゃ発つ鳥  三・四

波に聞け     五


これがルールで二句目は四・三でないとならないとされています。


わたしゃあんたに  三・四

火事場のまとい   四・三

振られ振られて   三・四

熱くなる      五


風が吹く日も    三・四

吹かない日にも   四・三

同じ機嫌の     三・四

かざぐるま     五


茨城県の石岡市や常陸太田市には現代都都逸を作っているグループがありますが、

初心者にはまずこのルールを教えています。


風牙さんの書き込みから、思いついたことをちょっと書いてみました。

 

 

 

なるほど  投稿者:ゆかり  投稿日:2019年 1月19日(土)22時29分37秒

  四三調の解説ありがとうございます。どうも私は風牙さんほど韻律に関して繊細でないのか、小節の縦棒を取り払ったような句またがりはさすがに駄目出しをしますが、四三に関してはセンサーが働かないようです。  

四三調②  投稿者:風牙  投稿日:2019年 1月19日(土)19時17分24秒 編集済

  媚庵さんの専門分野なので素人判断を書き難いですが(笑)二句一連で短歌として鑑賞した場合

横綱の決めた覚悟の伝はつて      風牙

 こむらがへりのかすかにかすめ    青猫

カーテンに金糸銀糸でかがる月     れいこ

 の三句の渡りからできる二首の短歌で、

カーテンに金糸銀糸でかがる月こむらがへりのかすかにかすめ

 は短歌としてなかなかのしらべだと思いますが、

横綱の決めた覚悟の伝はつてこむらがへりのかすかにかすめ

 はどうだろうかとも感じます。

で、これが

横綱の決めた覚悟の伝はつてこむらがへりがかすむかすかに

だとなかなか良いのではという気もします。  

四三調  投稿者:風牙  投稿日:2019年 1月19日(土)19時03分24秒 編集済

   二五調は特に言う人はあまりいませんが、四三調は気になります。俳諧は文芸として発達したわけでは無く娯楽=ゲームとして発達したのでルール(式目)の存在が必要になったと思います。「しらべ」は式目ではありませんが、四三調の結句は古今集、新古今集には見られないというのがあります。平句における句跨り等破調が嫌われるのはさっさと巻き終えて宴会しようぜというのが強かったようです。現代連句において、四三調を嫌うのは式目に緩くなんでもありの蕉風でも七部衆に下七が四三調の短句が一句も無いというのが根拠かと思います。

短歌において四三調の結句を解禁したのは斉藤茂吉ですよね。万葉集を理想とした茂吉は、

斎藤茂吉「短歌に於ける四三調の結句」

万葉集から四三で成功している例を沢山示した後、結論として、


○万葉集を読めば分かるように、四三調の結句で佳作がある。そして四三調でなければならない結句も少なからずある。


○四三調は程度の差はあるが概して敏活なる内的・外的な運動を表現するのに適しているようである。


○日本語の性質上四三にせざるを得ない場合も少なからずある。結句は必ず三四にしろとか四三にしろというような説は私は支持しない。

現代短歌では普通に四三の結句が見られので気にならない方も増えているのだと思います。

元々、子規の短歌革新は「歌」から「メロディー」を引き離して文字表現(文学)にしようとした意図もあったので、現代連句もそれ程に「しらべ」に拘る必要は無いのかなとも考えてはいます。  

七吟歌仙 東京の巻 評釈4  投稿者:ゆかり  投稿日:2019年 1月19日(土)16時08分5秒 編集済

      蚯蚓鳴くてふルージュの伝言      り

ナウ また同じ人がドラムス文化祭       牙


 名残裏折立である。ここからは容儀を正し挙句を目指す。出演するバンドはいくつもあるのに、また同じ人がドラムスという文化祭あるあるで付けている。ついでにいうと「ルージュの伝言」のドラムスはなかなか凝っていて難しい。


ナウ また同じ人がドラムス文化祭       牙

    ほつと息して記紀をひもとく      猫


 学園祭も一段落し研究生活に戻る。なんとなく「ルージュの伝言」→「魔女の宅急便」→「キキ」という別ルートの連想に導かれているような気もする。


    ほつと息して記紀をひもとく      猫

   木曜の肘掛椅子の反り具合        こ


 日常生活のディテールを詠んでいる。この人は木曜だけ違う場所で仕事をしている。


   木曜の肘掛椅子の反り具合        こ

    螺鈿細工の秘密の小匣         犬


 その木曜日の特別な部屋には螺鈿細工の秘密の小匣がある。


    螺鈿細工の秘密の小匣         犬

   本能の蓋をひらけば花明り        雄


 小匣に封印されていたのは本能で、開くと花明りがあふれる。官能的な味わいのある花の座である。


   本能の蓋をひらけば花明り        雄

    縄文弥生鳴く百千鳥          庵


 前句が視覚的であるのに対し、挙句では音響的に補完している。発句は「平成」という一元号を惜しむものであったが、挙句は縄文弥生以来脈々と続く本能の快楽をたからかに歌い上げている。

 

七吟歌仙 東京の巻 評釈3  投稿者:ゆかり  投稿日:2019年 1月19日(土)15時35分0秒

      すでに文殻水の流れに         猫

ナオ コーラスのところどころに城達也     こ


 不思議な付き具合だが、「流れ」を英語にして「ジェット・ストリーム」の城達也が導かれているのだろうか。


ナオ コーラスのところどころに城達也     こ

    北京のノイズ幽かに聴こえ       犬


 ラジオの混信を詠んでいる。


    北京のノイズ幽かに聴こえ       犬

   日のなかを石踏みながら戦車くる     雄


 なんとも国情不安である。


   日のなかを石踏みながら戦車くる     雄

    夏草揺らすノストラダムス       庵


 後世から遡りひょうひょうと予言者を詠んでいる。


    夏草揺らすノストラダムス       庵

   けふもまた火星おほきくなつてゐて    り


 予言者に対し惑星の運行で付けている。


   けふもまた火星おほきくなつてゐて    り

    多分煙草と違ふ匂ひだ         牙


 前句を薬物による幻覚と捉えている。


    多分煙草と違ふ匂ひだ         牙

   ゆめやゆめうつつやうつつうすべにの   猫


 呂律の回らない遣句としている。


   ゆめやゆめうつつやうつつうすべにの   猫

    家政婦は見た白菜の虫         こ


 前句「うすべにの」の正体を白菜の虫としている。ところでこの句が付けられたのは一月十日だったが、なんの虫の知らせか一月十二日に「家政婦は見た」の市原悦子さんが亡くなった。


    家政婦は見た白菜の虫         こ

   アリランの調べは雪の丘を越え      犬


 その出演作品になにか由来があるのか、大きな景で付けている。白菜の白が雪の丘と響き合う。


   アリランの調べは雪の丘を越え      犬

    谷の底から来る隠喩たち        雄


 上から来るものに対し下から来るものを付けているが、「隠喩たち」というメタレベルな措辞が可笑しい。


    谷の底から来る隠喩たち        雄

   真夜中の月明り浴びバスの中       庵


 月の座である。谷の底からひたひた忍びよる隠喩には気づかないかのようにバスが走る。


   真夜中の月明り浴びバスの中       庵

    蚯蚓鳴くてふルージュの伝言      り


 前句「バス」を風呂に読み替えて荒井由実を引用している。ルージュで「蚯蚓鳴く」と書いたことにして秋の句としている。

 

七吟歌仙 東京の巻 評釈2  投稿者:ゆかり  投稿日:2019年 1月19日(土)14時26分9秒

      飾りすぎたる案山子を据ゑる     月犬

ウ  鶺鴒の叩くあたまのみづの音      秀雄


 初折裏折立。ここからは名残表折端まで大いに羽目をはずす。秋の句は三句続ける。鶺鴒はまたの名を石たたき、庭たたき。尾を上下に振って石や地面を叩くらしい。案山子とか石頭とか呼ばれる人物の空っぽな頭が西瓜のような音を立てるさまを思い浮かべる。


ウ  鶺鴒の叩くあたまのみづの音      秀雄

    栞をはさむ濹東綺譚          庵


 絶妙な場面展開である。『濹東綺譚』は私娼窟・玉の井を舞台とした永井荷風の小説。恋の呼び出しか。


    栞をはさむ濹東綺譚          庵

   音もなくスカイツリーの影のびて     り


 恋の呼び出しには応ぜず見送っている。玉の井は向島植物園の近くなので、その辺りならスカイツリーの影がのびていることだろうと付けた。


   音もなくスカイツリーの影のびて     り

    モスラが次に現るゝとき        牙


 往年の怪獣映画『モスラ』では東京タワーに繭を作る。スカイツリーなので「次に現るゝとき」としている。


    モスラが次に現るゝとき        牙

   暴動ののちの向日葵昏睡す        猫


 夏の昼下がりの静寂をとらえているが、モスラの繭と響き合うものがある。


   暴動ののちの向日葵昏睡す        猫

    衛星写真に映るあなたと        こ


 前句「向日葵」を気象衛星の名と読み替えている。「あなた」は人物だろうか、遠方だろうか。


    衛星写真に映るあなたと        こ

   言ふならば未亡人的腰使ひ        犬


 前句「あなた」を受けてすかさず恋の句に突入する。気象衛星から超高精細度で腰使いが未亡人的であることまで分かるのだとしたら、それはそれで恐ろしい。


   言ふならば未亡人的腰使ひ        犬

    吸はれて茎の塵となるまで       雄


 あちゃあ、塵になってしまいましたか。


    吸はれて茎の塵となるまで       雄

   日の丸に礼す建国記念の日        庵


 あざやかに転じている。ところで「建国記念の日」は日が特定できる「記念日」ではなく「記念の日」という胡散臭い祝日であり、「日の丸に礼す」にはシニカルなニュアンスがある。


   日の丸に礼す建国記念の日        庵

    御恩報ひず春の容疑者         り


 皇室的なものを思い浮かべようとすると「御恩」という言葉がよぎるが、ここでは語呂合わせでゴーン容疑者を詠んだ。無理矢理春の句に仕立てている。


    御恩報ひず春の容疑者         り

   一房を千切るは易き花の枝        牙


 花の座である。ゴーン容疑者といえば独房であるが、「房」という漢字は音読みと訓読みでぜんぜん意味が違う。それをうまく利用してうつくしくまとめている。


   一房を千切るは易き花の枝        牙

    すでに文殻水の流れに         猫


 春を離れて付けている。前句のイメージから文殻が導かれている。

 

七吟歌仙 東京の巻 評釈1  投稿者:ゆかり  投稿日:2019年 1月19日(土)13時35分21秒

   しばらく評釈を書きますが、そんな訳あるかと茶々を入れて下さい。


   東京の夜に平成の淑気かな       媚庵


 まさに平成最後の新年ならではの発句である。夜明け前を淑気として読んでいるところが眼目であり、平成を惜しむ万感の思いがある。


   東京の夜に平成の淑気かな       媚庵

    やがて迎へる最後の初日      ゆかり


 脇は発句に寄り添い、平成としての最後の初日の出に思いを馳せている。


    やがて迎へる最後の初日      ゆかり

   横綱の決めた覚悟の伝はつて      風牙


 第三は脇のハツヒをショニチと読み替えて展開している。この第三が付いたのは一月三日だが現実は覚悟だけではどうにもならず、稀勢の里は初日から三連敗の末、一月十六日引退した。


   横綱の決めた覚悟の伝はつて      風牙

    こむらがへりのかすかにかすめ    青猫


 「かすかにかすめ」くらいであれば自身のこむら返りだろう。前句「決めた覚悟」からk音の頭韻強調が続き、遣句的に付けている。


    こむらがへりのかすかにかすめ    青猫

   カーテンに金糸銀糸でかがる月    れいこ


 月の座であるが、前句を受けて安静にしている室内の様子としたためか虚の月となっている。ここでもk音の頭韻強調が続くが、反復音に関する禁忌が連句においてあるのかないのか捌き人は知らない。


   カーテンに金糸銀糸でかがる月    れいこ

    飾りすぎたる案山子を据ゑる     月犬


 秋の句を続け案山子としているが、なんとも月光仮面のようである。ここでもk音の頭韻強調が続く。というか月犬さんに言われるまで気がつかなかったのが真相。

 

満尾!!!  投稿者:媚庵  投稿日:2019年 1月19日(土)13時19分45秒

  おめでとうございます。発句と挙句ということで緊張したままの日々でした。

展開の妙に翻弄されつつも最後まで完走できまして、新年早々、自祝しております。

連衆のみなさま、ありがとうございます。  

二五四三  投稿者:ゆかり  投稿日:2019年 1月19日(土)13時02分13秒

  風牙さんのおっしゃる二五四三の禁忌って、存在は知っているのですが、実用上そんなに駄目なのかというあたりで、この座ではあまり気にせず、勢いを優先しています。機会があればもう少し伺いたいところではあります。  

満尾  投稿者:れいこ  投稿日:2019年 1月18日(金)22時50分34秒

  おめでとうございます。

連衆のみなさま、ゆかりさま、ありがとうございました。

けっこうきんちょーしてまして、音数足りないとか自分でも笑っちゃいます。

いろいろ勉強させていただきました。

楽しかったです。

また、お会いできる日まで。

 

満尾!  投稿者:青猫  投稿日:2019年 1月18日(金)20時36分53秒

  満尾、おめでとうございます。

ゆかりさんのお誘い、ありがとうございました。

10数年ぶり(?)で、まったくの初心者となっていて、

捌きのゆかりさんや連中のみなさまにご迷惑だったのでは・・・

このスピード感、疾走してゆく句たちに触れるのは刺激的でした。

またの機会がありますよう♪  

ほんとに  投稿者:月犬  投稿日:2019年 1月18日(金)20時23分44秒

  いいテンポでしたね。

みしみしも某所もふくめ、連句は数年ぶり、

楽しいといえば楽しいですが、

けっこうプレッシャーも大きかったなあ。

同時にふたつだったからかもしれませんが。

お捌きお疲れさまでした。

いろいろ勉強になりました。  

満尾おめでとうございます  投稿者:斎藤秀雄  投稿日:2019年 1月18日(金)18時57分14秒

  ゆかりさんお誘いいただきありがとうございました。

ぼくにとってはこれが人生で二度目の歌仙、という超初心者でありまして、

みなさまの足をひっぱることになってしまったかと思いますが、

大きな学びになりました。

これに懲りずにまたお誘いいただければと思います。  

満尾  投稿者:風牙  投稿日:2019年 1月18日(金)18時02分48秒

  連衆の皆様満尾おめでとうございます。捌きのゆかりさんお誘いありがとうございました。久しぶりの付合を楽しませて頂きました。蕉風で学んだ身としては短句の下七の四三調が気になりましたが、連衆を集めて披講による俳諧と文字で表現する現代連句とはこういうものかもしれません。 風牙  

七吟歌仙東京の巻 満尾  投稿者:ゆかり  投稿日:2019年 1月18日(金)16時05分54秒

   ありがとうございます。これは一句目がいいでしょう。発句のたかだか一元号を悠久の時間の流れのなかで見据えた感があります。これにて満尾とします。


    七吟歌仙 東京の巻


   東京の夜に平成の淑気かな       媚庵

    やがて迎へる最後の初日      ゆかり

   横綱の決めた覚悟の伝はつて      風牙

    こむらがへりのかすかにかすめ    青猫

   カーテンに金糸銀糸でかがる月    れいこ

    飾りすぎたる案山子を据ゑる     月犬

ウ  鶺鴒の叩くあたまのみづの音      秀雄

    栞をはさむ濹東綺譚          庵

   音もなくスカイツリーの影のびて     り

    モスラが次に現るゝとき        牙

   暴動ののちの向日葵昏睡す        猫

    衛星写真に映るあなたと        こ

   言ふならば未亡人的腰使ひ        犬

    吸はれて茎の塵となるまで       雄

   日の丸に礼す建国記念の日        庵

    御恩報ひず春の容疑者         り

   一房を千切るは易き花の枝        牙

    すでに文殻水の流れに         猫

ナオ コーラスのところどころに城達也     こ

    北京のノイズ幽かに聴こえ       犬

   日のなかを石踏みながら戦車くる     雄

    夏草揺らすノストラダムス       庵

   けふもまた火星おほきくなつてゐて    り

    多分煙草と違ふ匂ひだ         牙

   ゆめやゆめうつつやうつつうすべにの   猫

    家政婦は見た白菜の虫         こ

   アリランの調べは雪の丘を越え      犬

    谷の底から来る隠喩たち        雄

   真夜中の月明り浴びバスの中       庵

    蚯蚓鳴くてふルージュの伝言      り

ナウ また同じ人がドラムス文化祭       牙

    ほつと息して記紀をひもとく      猫

   木曜の肘掛椅子の反り具合        こ

    螺鈿細工の秘密の小匣         犬

   本能の蓋をひらけば花明り        雄

    縄文弥生鳴く百千鳥          庵


起首:2019年 1月 3日

満尾:2019年 1月18日


 連衆の皆様、お疲れ様でした。このくらいのテンポで巻くと気持ちがいいですね。しばしご歓談下さい。




 

挙句  投稿者:媚庵  投稿日:2019年 1月18日(金)14時57分1秒

  挙句です。緊張します。


本能の蓋をひらけば花明り        雄



 縄文弥生鳴く百千鳥          庵

 うつらうつらと日永一日


如何でしょうか。  

東京挙句  投稿者:ゆかり  投稿日:2019年 1月17日(木)22時57分38秒 編集済

  ①過去いつも泉のごとし花明り…ええとですね、「現代俳句=連句の付け合いを一句の中で実現したもの」という大ざっぱな法則がありまして、「過去いつも泉のごとし/花明り」みたいな二物衝撃は現代俳句の作り方なのです。そういう意味では風牙さんの「また同じ人がドラムス/文化祭」というのもちょっとやばいのですが、こちらはなにかの喩になっているわけではなく、単に状況を提示しているだけなのでそのまま通しました。あと、「秘密の小匣」と「過去」は付き過ぎかも知れません。


②ほんのうの蓋をひらけば花の奥…「小匣」から「蓋」が導かれているわけですが、適度な距離だと思います。ただ、「花の奥」が分かりにくく、本能もひらがなとした効果が定かではありません。


③眼孔の扉ひらけば花の山…こちらも「小匣」から「扉」が導かれているのだとは思いますが、だとすると「眼孔の」と明示することにより前句と障ります。②は本能という抽象的な概念だから、障っていないのです。


 というわけで①と②を混ぜて頂きます。連句では一直(いっちょく)と言って捌き人権限で手直しすることがありまして、そういうものだと思って下さい。


   東京の夜に平成の淑気かな       媚庵

    やがて迎へる最後の初日      ゆかり

   横綱の決めた覚悟の伝はつて      風牙

    こむらがへりのかすかにかすめ    青猫

   カーテンに金糸銀糸でかがる月    れいこ

    飾りすぎたる案山子を据ゑる     月犬

ウ  鶺鴒の叩くあたまのみづの音      秀雄

    栞をはさむ濹東綺譚          庵

   音もなくスカイツリーの影のびて     り

    モスラが次に現るゝとき        牙

   暴動ののちの向日葵昏睡す        猫

    衛星写真に映るあなたと        こ

   言ふならば未亡人的腰使ひ        犬

    吸はれて茎の塵となるまで       雄

   日の丸に礼す建国記念の日        庵

    御恩報ひず春の容疑者         り

   一房を千切るは易き花の枝        牙

    すでに文殻水の流れに         猫

ナオ コーラスのところどころに城達也     こ

    北京のノイズ幽かに聴こえ       犬

   日のなかを石踏みながら戦車くる     雄

    夏草揺らすノストラダムス       庵

   けふもまた火星おほきくなつてゐて    り

    多分煙草と違ふ匂ひだ         牙

   ゆめやゆめうつつやうつつうすべにの   猫

    家政婦は見た白菜の虫         こ

   アリランの調べは雪の丘を越え      犬

    谷の底から来る隠喩たち        雄

   真夜中の月明り浴びバスの中       庵

    蚯蚓鳴くてふルージュの伝言      り

ナウ また同じ人がドラムス文化祭       牙

    ほつと息して記紀をひもとく      猫

   木曜の肘掛椅子の反り具合        こ

    螺鈿細工の秘密の小匣         犬

   本能の蓋をひらけば花明り        雄


 では媚庵さん、挙句をお願いします。春のおめでたい句でどうぞ。

 

花  投稿者:斎藤秀雄  投稿日:2019年 1月17日(木)22時21分4秒

  ゆかりさん、ご教示ありがとうございます。しかしこれは難しい・・・


    ほつと息して記紀をひもとく    猫

   木曜の肘掛椅子の反り具合      こ

    螺鈿細工の秘密の小匣       犬



過去いつも泉のごとし花明り

ほんのうの蓋をひらけば花の奥

眼孔の扉ひらけば花の山



ダメな時はまた書きまする。  

はい  投稿者:ゆかり  投稿日:2019年 1月17日(木)21時17分29秒

  前句を承けつつ、打越から転じる、で基本は正しいのですが、そのまま承けると「付き過ぎ」などと批判の対象となります。

あと、花の座は「花」の字を以てすべての花の象徴たる桜を詠んで下さい。「桜」ではいけないのです。

それから義肢は打越に障るような気がします。


 今回の場合、前句、打越ともパーツっぽいので、そこを避け、徹底的に叙景とか人事を絡めるなどで、「螺鈿細工の秘密の小匣」と同時に成り立つような句を付けて下さい。


ではもうニ三句お願いします。  

さくら  投稿者:斎藤秀雄  投稿日:2019年 1月17日(木)20時14分59秒

      ほつと息して記紀をひもとく    猫

   木曜の肘掛椅子の反り具合      こ

    螺鈿細工の秘密の小匣       犬


軍艦の階段おりて雲珠桜

眼孔の扉ひらけば朝桜

おとうとの義肢つくらむか老桜


お待たせいたしました。捌き、お願いいたします。

(歌仙初心者の、素朴な質問。前句を承けつつ、打越から転じる、という理解でよいですか?)  

東京名残裏花の座  投稿者:ゆかり  投稿日:2019年 1月17日(木)16時21分34秒

   ここまで清書します。


   東京の夜に平成の淑気かな       媚庵

    やがて迎へる最後の初日      ゆかり

   横綱の決めた覚悟の伝はつて      風牙

    こむらがへりのかすかにかすめ    青猫

   カーテンに金糸銀糸でかがる月    れいこ

    飾りすぎたる案山子を据ゑる     月犬

ウ  鶺鴒の叩くあたまのみづの音      秀雄

    栞をはさむ濹東綺譚          庵

   音もなくスカイツリーの影のびて     り

    モスラが次に現るゝとき        牙

   暴動ののちの向日葵昏睡す        猫

    衛星写真に映るあなたと        こ

   言ふならば未亡人的腰使ひ        犬

    吸はれて茎の塵となるまで       雄

   日の丸に礼す建国記念の日        庵

    御恩報ひず春の容疑者         り

   一房を千切るは易き花の枝        牙

    すでに文殻水の流れに         猫

ナオ コーラスのところどころに城達也     こ

    北京のノイズ幽かに聴こえ       犬

   日のなかを石踏みながら戦車くる     雄

    夏草揺らすノストラダムス       庵

   けふもまた火星おほきくなつてゐて    り

    多分煙草と違ふ匂ひだ         牙

   ゆめやゆめうつつやうつつうすべにの   猫

    家政婦は見た白菜の虫         こ

   アリランの調べは雪の丘を越え      犬

    谷の底から来る隠喩たち        雄

   真夜中の月明り浴びバスの中       庵

    蚯蚓鳴くてふルージュの伝言      り

ナウ また同じ人がドラムス文化祭       牙

    ほつと息して記紀をひもとく      猫

   木曜の肘掛椅子の反り具合        こ

    螺鈿細工の秘密の小匣         犬


 秀雄さんの花の座をお待ちしているところです。

 

(無題)  投稿者:ゆかり  投稿日:2019年 1月17日(木)14時51分55秒

  ぢや、それで。

秀雄さん、花の座をばしつと決めて下さい。  

東京  投稿者:月犬  投稿日:2019年 1月17日(木)14時42分5秒

  雑でどうでしょうか。


ナウ また同じ人がドラムス文化祭       牙

    ほつと息して記紀をひもとく      猫

   木曜の肘掛椅子の反り具合        こ


    螺鈿細工の秘密の小匣         犬  

ひゃ  投稿者:月犬  投稿日:2019年 1月17日(木)11時51分11秒

  たしかに:笑

ちょっと待ってね、仕事終わらせてから。  

(無題)  投稿者:ゆかり  投稿日:2019年 1月17日(木)11時30分11秒

  打越ほつとにそつとですか。

もう一句いかがでしょう。  

東京  投稿者:月犬  投稿日:2019年 1月17日(木)11時22分2秒

  ナウ また同じ人がドラムス文化祭       牙

    ほつと息して記紀をひもとく      猫

??????木曜の肘掛椅子の反り具合????????????????こ


    指先そつと薄氷に触れ         犬


でどうでせう。  

(無題)  投稿者:ゆかり  投稿日:2019年 1月17日(木)09時55分17秒

  「春の容疑者」があるので、別の季語がいいでしょう。

もう一句お願いします。  

東京  投稿者:月犬  投稿日:2019年 1月17日(木)09時46分30秒

  ナウ また同じ人がドラムス文化祭       牙

    ほつと息して記紀をひもとく      猫

      木曜の肘掛椅子の反り具合                こ


    春の塵ならやさしく拭ふ        犬


どうでしょうか。  

(無題)  投稿者:ゆかり  投稿日:2019年 1月17日(木)03時42分5秒

  一句目を頂きます。二句目は一音足りないような…。

月犬さん、早春か雑でお願いします。その次が花の座なので、植物は出さないで下さい。  

インフルエンザ  投稿者:れいこ  投稿日:2019年 1月16日(水)22時52分23秒

  流行ってるようですが、みなさま、お気をつけて


ナウ また同じ人がドラムス文化祭       牙

    ほつと息して記紀をひもとく      猫


木曜の肘掛椅子の反り具合

右手から順に帰りくる浜辺  

それはそうと  投稿者:ゆかり  投稿日:2019年 1月16日(水)17時01分47秒

  市原悦子さんは亡くなってしまいました。

この名残表8句目も貴重です。  

それはそうと  投稿者:ゆかり  投稿日:2019年 1月16日(水)17時00分28秒

  稀勢の里は引退してしまいました。この第三は貴重です。  

東京名残裏3  投稿者:ゆかり  投稿日:2019年 1月16日(水)16時57分38秒

  ではそれで。ここまで清書します。


   東京の夜に平成の淑気かな       媚庵

    やがて迎へる最後の初日      ゆかり

   横綱の決めた覚悟の伝はつて      風牙

    こむらがへりのかすかにかすめ    青猫

   カーテンに金糸銀糸でかがる月    れいこ

    飾りすぎたる案山子を据ゑる     月犬

ウ  鶺鴒の叩くあたまのみづの音      秀雄

    栞をはさむ濹東綺譚          庵

   音もなくスカイツリーの影のびて     り

    モスラが次に現るゝとき        牙

   暴動ののちの向日葵昏睡す        猫

    衛星写真に映るあなたと        こ

   言ふならば未亡人的腰使ひ        犬

    吸はれて茎の塵となるまで       雄

   日の丸に礼す建国記念の日        庵

    御恩報ひず春の容疑者         り

   一房を千切るは易き花の枝        牙

    すでに文殻水の流れに         猫

ナオ コーラスのところどころに城達也     こ

    北京のノイズ幽かに聴こえ       犬

   日のなかを石踏みながら戦車くる     雄

    夏草揺らすノストラダムス       庵

   けふもまた火星おほきくなつてゐて    り

    多分煙草と違ふ匂ひだ         牙

   ゆめやゆめうつつやうつつうすべにの   猫

    家政婦は見た白菜の虫         こ

   アリランの調べは雪の丘を越え      犬

    谷の底から来る隠喩たち        雄

   真夜中の月明り浴びバスの中       庵

    蚯蚓鳴くてふルージュの伝言      り

ナウ また同じ人がドラムス文化祭       牙

    ほつと息して記紀をひもとく      猫


 れいこさん、雑でお願いします。

 

しらふ、かな・・・  投稿者:青猫  投稿日:2019年 1月16日(水)14時57分7秒

  ほっと息して記紀をひもとく  

しらふ  投稿者:ゆかり  投稿日:2019年 1月16日(水)00時02分4秒

  羽目を外した面白すぎる句を控えて格調高く行きましょうという意味です。

ビクターの犬だと音楽由来が3句続いてしまうし、おぼろだと春じゃねえかと突っ込まれそうなので、もう一句お願いします。  

はい、しらふって?   投稿者:青猫  投稿日:2019年 1月15日(火)23時55分28秒

   蚯蚓鳴くてふルージュの伝言      り


 また同じ人がドラムス文化祭      牙


 顔もおぼろなビクターの犬  猫

 

(無題)  投稿者:ゆかり  投稿日:2019年 1月15日(火)09時24分44秒

  ありがとうございます。では青猫さん、秋を離れてしらふな感じでお願いします。  

東京 ナウ  投稿者:風牙  投稿日:2019年 1月15日(火)07時17分0秒

  アリランの調べは雪の丘を越え      犬

 谷の底から来る隠喩たち        雄

真夜中の月明り浴びバスの中       庵

 蚯蚓鳴くてふルージュの伝言      り


また同じ人がドラムス文化祭       牙


「アリランの調べ」との三句去りはしてますが近いような気もします。  

青春の殺人者  投稿者:ゆかり  投稿日:2019年 1月14日(月)09時24分10秒

  40年くらい前に『青春の殺人者』という映画があって、それの市原悦子が凄かったのですが、同じように感じていらっしゃる方のブログを見つけました。  

家政婦は見た  投稿者:月犬  投稿日:2019年 1月13日(日)19時21分9秒

  の、市原悦子さん、お亡くなりになったのね。合掌。  

東京名残裏折立  投稿者:ゆかり  投稿日:2019年 1月12日(土)21時07分37秒

  後の月で秋を始めるとあとの人が困るので、二句目がいいでしょう。


   東京の夜に平成の淑気かな       媚庵

    やがて迎へる最後の初日      ゆかり

   横綱の決めた覚悟の伝はつて      風牙

    こむらがへりのかすかにかすめ    青猫

   カーテンに金糸銀糸でかがる月    れいこ

    飾りすぎたる案山子を据ゑる     月犬

ウ  鶺鴒の叩くあたまのみづの音      秀雄

    栞をはさむ濹東綺譚          庵

   音もなくスカイツリーの影のびて     り

    モスラが次に現るゝとき        牙

   暴動ののちの向日葵昏睡す        猫

    衛星写真に映るあなたと        こ

   言ふならば未亡人的腰使ひ        犬

    吸はれて茎の塵となるまで       雄

   日の丸に礼す建国記念の日        庵

    御恩報ひず春の容疑者         り

   一房を千切るは易き花の枝        牙

    すでに文殻水の流れに         猫

ナオ コーラスのところどころに城達也     こ

    北京のノイズ幽かに聴こえ       犬

   日のなかを石踏みながら戦車くる     雄

    夏草揺らすノストラダムス       庵

   けふもまた火星おほきくなつてゐて    り

    多分煙草と違ふ匂ひだ         牙

   ゆめやゆめうつつやうつつうすべにの   猫

    家政婦は見た白菜の虫         こ

   アリランの調べは雪の丘を越え      犬

    谷の底から来る隠喩たち        雄

   真夜中の月明り浴びバスの中       庵

    蚯蚓鳴くてふルージュの伝言      り

ナウ


 さて名残裏です。ここからはしらふに返った感じでお願いします。

風牙さん、秋の句を続けて下さい。

 

名残表 月  投稿者:媚庵  投稿日:2019年 1月12日(土)17時07分25秒

  再考いたしました。


   アリランの調べは雪の丘を越え      犬

    谷の底から来る隠喩たち        雄



   千日手なりし盤上後の月         庵

   真夜中の月明り浴びバスの中


いかがでしょうか。お捌き下さい。

 

(無題)  投稿者:ゆかり  投稿日:2019年 1月12日(土)11時48分51秒

  発熱のところ駄目出しするのは鬼畜のようですが、初折裏に容疑者→一房という流れがあるし、二句目の方は冬に戻らず秋の月で行きたいです。

回復を待ってもう一句お願いします。お大事にどうぞ。  

名残表11月  投稿者:媚庵  投稿日:2019年 1月12日(土)11時32分29秒

         アリランの調べは雪の丘を越え      犬

    谷の底から来る隠喩たち        雄



    寒月の出を独房の窓に待つ       庵

    回想記書き継ぐ夜半を月凍てて


いかがでしょうか。風邪で発熱、臥せっております。  

東京名残表11、月  投稿者:ゆかり  投稿日:2019年 1月11日(金)13時11分35秒

   ここまで清書しておきます。


   東京の夜に平成の淑気かな       媚庵

    やがて迎へる最後の初日      ゆかり

   横綱の決めた覚悟の伝はつて      風牙

    こむらがへりのかすかにかすめ    青猫

   カーテンに金糸銀糸でかがる月    れいこ

    飾りすぎたる案山子を据ゑる     月犬

ウ  鶺鴒の叩くあたまのみづの音      秀雄

    栞をはさむ濹東綺譚          庵

   音もなくスカイツリーの影のびて     り

    モスラが次に現るゝとき        牙

   暴動ののちの向日葵昏睡す        猫

    衛星写真に映るあなたと        こ

   言ふならば未亡人的腰使ひ        犬

    吸はれて茎の塵となるまで       雄

   日の丸に礼す建国記念の日        庵

    御恩報ひず春の容疑者         り

   一房を千切るは易き花の枝        牙

    すでに文殻水の流れに         猫

ナオ コーラスのところどころに城達也     こ

    北京のノイズ幽かに聴こえ       犬

   日のなかを石踏みながら戦車くる     雄

    夏草揺らすノストラダムス       庵

   けふもまた火星おほきくなつてゐて    り

    多分煙草と違ふ匂ひだ         牙

   ゆめやゆめうつつやうつつうすべにの   猫

    家政婦は見た白菜の虫         こ

   アリランの調べは雪の丘を越え      犬

    谷の底から来る隠喩たち        雄


 媚庵さんの月の座をお待ちしているところです。  

(無題)  投稿者:ゆかり  投稿日:2019年 1月10日(木)19時32分11秒

  おや、私のまわりで胃腸炎は二人目ですね。お大事にどうぞ。御句、一句目が圧倒的によいと思います。

媚庵さん、月の座をお願いします。  

雑・丘の向こう側  投稿者:斎藤秀雄  投稿日:2019年 1月10日(木)18時34分41秒

  こんばんは。昨日、胃腸炎にやられて、薬の影響で(合法です)まだぼーっとしているので、全体が見通せなくなっています(笑)。4つも書いてしまいました。お捌きお願いいたします。


   ゆめやゆめうつつやうつつうすべにの 猫

    家政婦は見た白菜の虫       こ

   アリランの調べは雪の丘を越え    犬


谷の底から来る隠喩たち

滑つてすべて樽のうちがは

足の痛みに龍角散を

中国側で逮捕監禁  

捌き人錯乱  投稿者:ゆかり  投稿日:2019年 1月10日(木)16時54分6秒

  捌き人が錯乱してますね。すみませんでした。

初折裏で夏の月を出しそびれて気になっていたのですが、名残表九句目を冬の月としたら十一句目が打越で月を出せず、繰り上げとするしかないですね。二句目の雪のほうを頂きます。


秀雄さん、雑でお願いします。  

雪と月、二句  投稿者:月犬  投稿日:2019年 1月10日(木)15時59分9秒

     ゆめやゆめうつつやうつつうすべにの   猫

    家政婦は見た白菜の虫         こ


   月光に皸の指差し出せば         犬

   アリランの調べは雪の丘を越え      犬


どうでせうか。  


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