2022年7月9日土曜日

掲示板過去ログ170

 2019年 3月 8日(金)23時20分47秒から2019年 3月19日(火)23時35分43秒まで。




ゆふぐれの巻 脇  投稿者:ゆかり  投稿日:2019年 3月19日(火)23時35分43秒

   苑をさん、発句をありがとうございます。うひゃあ、なんだかすごいものが…。神祇釈教の総本山のような発句ですね。季重なりと花の座を意識されたのだと思いますが、発句としては花はふつうに花でいいんじゃないかなあ。だって咲いてるんだもん。脇を付けます。一部仮名遣いや漢字は変えて頂くことにします。


   ゆふぐれに花の点るや彼岸寺   苑を

    亀鳴くこゑと豆腐屋の笛   ゆかり


 音で付けてみました。第三は「て止め」で春の句を続けて下さい。人さらいをしてきます。  

 

 

発句です。  投稿者:苑を  投稿日:2019年 3月19日(火)17時58分31秒 編集済

  夕ぐれに華の点るや彼岸寺  苑を


久し振りに参加させて頂きます。

発句は初めて。いま見ている景のままに。

いかがでしょうか。  

うふふ  投稿者:霞  投稿日:2019年 3月19日(火)02時57分35秒

  メタから脱線しちゃうのですが。


>付句との距離、打越との距離の感性は霞さんと私ではずいぶん異なります。たぶん霞さんの捌きだったら絶対通さないものばかり私は選んで通しています。


うふふ。ですね。


ゆかりさんの捌きでは「それ通しちゃうの!?」って私は思うことが多いし、私の捌きでは「それ厳しすぎじゃない!?」ってゆかりさんに思われてますよね、きっと。どちらも楽しいです。  

ううむ  投稿者:ゆかり  投稿日:2019年 3月18日(月)14時15分2秒

   こうしてみると私はつくづく手塚治虫の強い影響下にありますね。全集を揃えよう的なことはなにもしていないし、それどころか『火の鳥』でさえ読んでない巻があるくらいのいい加減な読者なのですが、それでもあえて強い影響下と声を大にして宣言します。ぐみさんが挙げた「メタモルフォーゼ」も『火の鳥』の流刑星でのエピソードで、これまで「みしみし」では何度も話題にしてきました。  

メタ2  投稿者:ゆかり  投稿日:2019年 3月18日(月)13時50分59秒

   遊凪さんの「私はいたって前句の何処かについて、付けているつもりです」は重要な示唆で、連句はご存じの通り、ある人が詠んだ句に対し、全然別の思考回路を持った別の人が付けることにより、面白さが発生するわけです。捌き人も別の思考回路を持った別の人のひとりです。つまり、普通に出された句を捌き人の思考回路が「メタ的」として、わざわざいくつか出された句からことさらその句を選んで面白がっている可能性は否めません。


   聞きたての都市伝説を反芻し     庵

    今でも残る巴里の地下街      凪


 観たばかりの「ブラタモリ」のパリの回で付け、まさに前句「聞きたて」を実践している。美観の整った都市計画を断行した際に古い街並みがそのまま地下街となったという内容なのだが、世に言う「都市伝説」とは意味がずれているところがなんとも可笑しい。


 先に評釈の中でこのように書きました。芭蕉が文台下ろせばすなはち反古と言ったのはその通りで、まさに巻いている最中に観たり聴いたりしたことは、後からはまったく分かりません。そのような即興性や時事性というのも、連句という足の速いなまものの美味しさのひとつだと考えています。


 遊凪さんの連句はのちほどゆっくり拝見致します。  

メタ  投稿者:ゆかり  投稿日:2019年 3月18日(月)13時31分25秒

   ぐみさん、遊凪さん、ありがとうございます。ぐみさんの質問から答えます。


Q:メタ的ってなんでしょうか? メタモルフォーゼのことかしら?

A:すでに「前句の内容がテレビや映画の中のできごとという、メタな見立てを行う」と書いていますが、もう少しいくつか例を出します。


(例1)漫画はコマに描いたものがストーリーとして展開するわけですが、通常、コマとか吹き出しとかはストーリーの外側にあって、ストーリーの中には出て来ません。ところが手塚治虫の『鉄腕アトム』ではストーリーの中で盗難に備え、「コマの裏に隠せ」という台詞が出て、コマをめくった絵の裏に名画を運び込みます。


(例2)同じ手塚治虫の『バンパイヤ』では、登場人物が美女に会って赤面するシーンで、「おかしいと思わない? 一色刷だから真っ黒にしかならないんだ」と作中人物が発します。


(例3)三谷幸喜の芝居『おのれナポレオン』では途中から天海祐希の代役で宮沢りえが稽古二日で舞台に立ちますが、書き足された作中の「台詞は覚えた?」「お前に言われたくねえよ」という応酬に観客は爆笑します。


 このように作品世界にその作品を提示するしかけが入り込んでいるのを、私はメタ的と呼んでいます。

 ぐみさんが???となるのもむべなるかなで、続く霞さんとの会話はすれ違ったところがありますが、「すり付け」というのはゆかり捌きの重要なキーワードになるかも知れないというのは事実で、付句との距離、打越との距離の感性は霞さんと私ではずいぶん異なります。たぶん霞さんの捌きだったら絶対通さないものばかり私は選んで通しています。  

メタ的かどうか?  投稿者:遊凪  投稿日:2019年 3月17日(日)22時25分37秒

  皆さん、ゆかりさん、こんにちは。

霞さん お久しぶりです。


メタ的かどうか?は分かりませんが、私はいたって前句の何処かについて、

付けているつもりです。どちらかいうと平凡な付けかも知れません。

過去に巻いた拙いものなどが

https://ameblo.jp/yuu-nagi-543/entrylist.html

に有りますので、よろしければご笑覧下さい。

ではでは・また ≧^_^;≦

 

そういえば  投稿者:霞  投稿日:2019年 3月17日(日)20時48分34秒

  >ぐみさん


ですです。ゆかりさんの投稿〈七吟歌仙「春雨の巻」評釈その2〉に対する返信でした。



>ゆかりさん


以前ゆかりさんもおっしゃってましたが、ゆかりさんと私の「打越」の幅、違いますよね。そういえば。  

横から  投稿者:ぐみ  投稿日:2019年 3月17日(日)20時31分27秒

  メタ的ってなんでしょうか? メタモルフォーゼのことかしら?  

なるほど…  投稿者:ゆかり  投稿日:2019年 3月17日(日)09時50分45秒

   霞さん、ありがとうございます。「すり付け」というのはゆかり捌きの重要なキーワードになるかも知れないですね。  

メタ的な見立て  投稿者:霞  投稿日:2019年 3月17日(日)08時15分44秒

  呼ばれて飛び出てにゃんにゃにゃーん


霞です。

メタ的な見立て、好きです。ぜんぜんやっていいと思うです。すり付けに当たると思うので、一巻の中で多用はできないですけれど。


メタに当たるかは微妙ですが、思い出したのは自分の付け句↓


 時計の止まる昼前の村      照夫

かけ声を聞いて出てきた今日の月  霞


戦争を集めてこれから煮ますから  霞

 隠れ住みたるカズオ・イシグロ  照夫


(偶然どっちも草門会の照夫さんとの付けだった)

 

七吟歌仙「春雨の巻」評釈2  投稿者:ゆかり  投稿日:2019年 3月15日(金)22時39分36秒

      息吹きかけて磨く紅玉      裕美

ウ  よそいきで急ぐ芒の波の道     玉簾


 初折裏である。ここからが暴れどころである。デートなのだろうか、紅玉を持ってよそいきのいでたちで芒の波の道を急いでいる。玉簾さんはネットの古くからの友人で俳人で歌手だが、久しぶりすぎて「みしみし」に参加していたかさだかでない。それ以前にも別のところで連句は巻いている。


ウ  よそいきで急ぐ芒の波の道     玉簾

    湘南までぢや話し足りない     凱


 直情的に口語で畳みかけてきた。湘南の夏は熱いぜ。ここから恋の座。


    湘南までぢや話し足りない     凱

   生命の起源の棒の如きもの      り


 折しも地球の生命の起源の調査を目的とした無人探査機「はやぶさ2」が小惑星リュウグウへの着陸に成功した。地球の生命の起源はいざ知らず、人間の生命の起源といえば棒の如きものだろう。


   生命の起源の棒の如きもの      り

    シーラカンスとなるまで眠る    猫


 激しい恋のあとはひたすら眠る。「生命の起源」に呼応して熟睡のさまを「シーラカンス」としている。ここまでが恋。


    シーラカンスとなるまで眠る    猫

   聞きたての都市伝説を反芻し     庵


 「生きた化石」とか「伝説の魚」とか呼ばれる前句「シーラカンス」に対し、「都市伝説」という今どきの怪しげなもので付けている。


   聞きたての都市伝説を反芻し     庵

    今でも残る巴里の地下街      凪


 観たばかりの「ブラタモリ」のパリの回で付け、まさに前句「聞きたて」を実践している。美観の整った都市計画を断行した際に古い街並みがそのまま地下街となったという内容なのだが、世に言う「都市伝説」とは意味がずれているところがなんとも可笑しい。


    今でも残る巴里の地下街      凪

   大長編映画の果てて月涼し      美


 前句「巴里の地下街」を「大長編映画」の中のできごととし、夏の月を詠んでいる。「みしみし」の連衆は自在に、前句の内容がテレビや映画の中のできごとという、メタな見立てを行う。世間一般の連句がそんなふうに進行するものなのかは、よく分からない。このあたり、他でも巻いている遊凪さんや、今回参加していない高松霞さんあたりに聞いてみたいところではある。


   大長編映画の果てて月涼し      美

    人肌ほどの合歓の木の下      簾


 「人肌ほどの」とくればぬくもりだろうし、前句の「涼し」に対して付けたものであろうが、そのぬくもりを保持しているものが尋常ではない。合歓の木の小葉片が夜に重なり合うさまを捉えたものか。


    人肌ほどの合歓の木の下      簾

   地元では代打の神様と呼ばれ     凱


 合歓の木の下で口説いているのだろうか。眉唾ものである。


   地元では代打の神様と呼ばれ     凱

    野次将軍も四年契約        り


 本当は野次っているばかりだったのだ。ちなみに四年というのは衆議院議員の任期。


    野次将軍も四年契約        り

   言の葉はやや脂じみ花の雨      猫


 前句のタヌキオヤジのような人物をペーソスでくるみ、花の座として詠み上げている。すごいものだ。


   言の葉はやや脂じみ花の雨      猫

    酸素ボンベの重き遅き日      庵


 「言の葉はやや脂じみ」の異変は重病だったのである。字面の「重き遅き」が痛ましい。もちろん「重き」は前にかかり「遅き」は季語の一部として後ろにかかるのだが、表記の面白さは本来の意味には関係なく現れる。

 

七吟歌仙「春雨の巻」評釈1  投稿者:ゆかり  投稿日:2019年 3月15日(金)21時15分57秒

   続いて「春雨の巻」評釈の評釈です。茶々歓迎です。


   春雨や剥けば魚肉のやはらかさ    凱


 魚肉ソーセージはビニールのパッケージにくるまれている間はそれなりの固さだが、剥くと意外なやわらかさでなんとも落差がある。そのやわらかさは、外をそぼ降る春雨と響き合うほどのやわらかさである。凱さんは「みしみし」初登場の俳人。


   春雨や剥けば魚肉のやはらかさ    凱

    折檻のごと恋猫のこゑ     ゆかり


 脇は発句と同じ場所、同じ時刻を詠み挨拶とする。折しもどこかから発情した猫の声が聞こえる。人間の幼児が折檻を受けているような、紛らわしい声である。そんな猫も恋に疲れれば魚肉ソーセージを食べるのだろうか。といった情景で、発句にはない音声情報を詠み込んで挨拶としている。


    折檻のごと恋猫のこゑ     ゆかり

   朧夜の香のたちのぼる水辺にて   青猫


 第三は発句と脇の挨拶から離れ、連句としての展開の始まりとなる。発句と脇による狭隘な生活空間を離れ、むせるような春の夜の水辺を詠んでいる。青猫さんは俳人として句集を出してはいるが、現代詩人でもあり、萩原朔太郎研究家でもあり、歌手でもある。


   朧夜の香のたちのぼる水辺にて   青猫

    乗り捨てられた四輪駆動     媚庵


 人気のない水辺には四輪駆動車が乗り捨てられている。媚庵さんは歌人にして俳人。


    乗り捨てられた四輪駆動     媚庵

   畑まで残月を背に向かひたり    遊凪


 月の座であるが、打越に朧夜があるので昼の月としている。ここから秋の句が続く。遊凪さんは「みしみし」初登場の連句人。


   畑まで残月を背に向かひたり    遊凪

    息吹きかけて磨く紅玉      裕美


 畑で収穫した紅玉だろうか。丹精に磨いている。と、表六句のあいだはさしたる波乱もなく進む。裕美さんは「みしみし」初登場の俳人。

 

溜め池の巻き  投稿者:ぐみ  投稿日:2019年 3月15日(金)18時45分56秒

  溜め池の巻の評釈、ご無理願いましたが、有難うございました。

歌仙二巻同時進行、他にもラッセル車並み俳句の仕切りと超人的凄わざは

まぶしいばかりです。

久しぶりに混ぜて頂き、わくわくしました。

お捌きさまと旅のご一行さまに心より御礼を。  

七吟歌仙「溜め池の巻」評釈4  投稿者:ゆかり  投稿日:2019年 3月15日(金)14時01分36秒

      下り簗には水の音ばかり       り

ナウ 土手に飼ふ除草のための山羊二頭    季


 名残裏である。暴れどころはこれまでとし挙句に向かう。前句とはあまり関係ない叙景の句で、居住まいを正している。


ナウ 土手に飼ふ除草のための山羊二頭    季

    右の乳房の入れ墨の赤        槐


 居住まいを正したはずであったが、また妖しげな句が付けられた。山羊の乳の白からの発想ではあろうが、入れ墨といえば人間の乳房だろう。あるいは山羊の図柄のタトゥーなのかも知れない。


    右の乳房の入れ墨の赤        槐

   恋人の肉よ機械になり給へ       祐


 しかも名残の裏で恋なのか。「恋人よ」ではなく「恋人の肉よ」であるところが、なんとも非人情で極悪である。


   恋人の肉よ機械になり給へ       祐

    次々消える魔界よりこゑ       じ


 「次々消える魔界」がなにかのロールプレーイングゲームみたいでじつによい。事態は一気に解決に向かい、断末魔の叫びが聞こえるようである。


    次々消える魔界よりこゑ       じ

   天地の笑みの広ごる花盛り       み


 前句の機転によりピースフルな花の座を迎えられた。


   天地の笑みの広ごる花盛り       み

    旅の果たての沖霞みたり       良


 挙句である。「果たて」という古語がいかにも即物的叙景派歌人の由良さんならではである。  

七吟歌仙「溜め池の巻」評釈3  投稿者:ゆかり  投稿日:2019年 3月15日(金)13時36分4秒 編集済

      をみなとをみなふらここを漕ぐ    槐

ナオ 鈍器群ボートレースに撒かれつつ    祐


 前句のただならぬ気配を事件に展開している。前句「漕ぐ」に対し「ボートレース」でいいのかが気にならなくもないが、今日のボートレースは手こぎではなくモーターボートなのでよしとした。


ナオ 鈍器群ボートレースに撒かれつつ    祐

    デカの直感ホシは老人        じ


 テレビドラマでおなじみの符牒「デカ」「ホシ」で付けている。


    デカの直感ホシは老人        じ

   地球とて宇宙に光る青き点       み


 直接的には前句「ホシ」から導かれて「地球」なのかも知れないが、事件など宇宙全体から見れば些細なことなのだという悟りにも似た転じが面白い。


   地球とて宇宙に光る青き点       み

    蚤ひねりつつ面壁三年        良


 悟りに至るまでの、蚤に思惟を乱されつつの修行の日々である。


    蚤ひねりつつ面壁三年        良

   泥団子切つて食みたる石のうへ     り


 「石の上にも三年」をもじり、ままごとの俎とした。


   泥団子切つて食みたる石のうへ     り

    子役の台詞たつたひとこと      季


 それをドラマの中のできごととした。


    子役の台詞たつたひとこと      季

   ラジオ置く張り出し窓の冬ざるる    槐


 それをラジオドラマとし、放送を聞く生活空間とした。その子役の出番を心待ちにしている祖母あたりの家かも知れない。


   ラジオ置く張り出し窓の冬ざるる    槐

    象徴界を銀世界へと         祐


 ラジオで伝えられる音声はときに、視覚情報を伴うテレビよりもはるかに多くのメッセージを聞き手の心に訴える。いまどんな視覚情報よりも鮮やかな銀世界が展開されて行く。まさに柳人ならではの付け味である。


    象徴界を銀世界へと         祐

   乗換の小さき駅の屋根長く       じ


 広がりを持った「銀世界」から、具体的な景に置き換えられるこの付け具合は、川柳の世界から俳句の世界への乗り換えのようでさえある。ここまでの三句の渡りは、この巻のなかの最大の見せ場だろう。


   乗換の小さき駅の屋根長く       じ

    健さんに似し夜学生ゐて       み


 前句「駅」から「健さん」が導かれているが、そのものではなくそれに似た夜学生としている。ここから秋の句が続く。


    健さんに似し夜学生ゐて       み

   照らしあふ名残の月とわれの顔     良


 月の座であるが、初折で曲がりなりにも「名月」が出ているので、ここでは旧暦九月十三日の「名残の月」としている。この「われ」は「健さんに似し夜学生」なのだろうか。名残の月と「照らしあふ」と言っているのだから、スターばりの風貌なのだろう。


   照らしあふ名残の月とわれの顔     良

    下り簗には水の音ばかり       り


 またしても人物が続いたので、景に転じた。前句の光に対し、音を配している。

 

七吟歌仙「溜め池の巻」評釈2  投稿者:ゆかり  投稿日:2019年 3月15日(金)12時03分54秒

      道に迷ひし白帝の夜        けんじ

ウ  異土晴れて八万人の阿波踊り     ぐみ


 初折裏である。本来ここからが暴れどころであるが、表六句の月の座あたりから自在な発想による丁々発止は始まっている。道に迷った白帝はなんと外つ国に至ってしまった。八万人が街をあげて踊り狂っている。リオのカーニバルのようでもある。月の座からここまでが秋の句である。


ウ  異土晴れて八万人の阿波踊り     ぐみ

    ロベスピエールの目をした男     良


 wikipediaによればロベスピエールはフランス革命期の政治家にして、史上初のテロリスト(恐怖政治家)・代表的な革命指導者で、国民公会からジロンド派を追放し権力を掌握すると、公安委員会、保安委員会、革命裁判所などの機関を通して恐怖政治を断行し反対派をギロチン台に送った、とある。そんな男が無慈悲な目で八万人の阿波踊りの狂躁を見つめているのである。みごとな転じである。


    ロベスピエールの目をした男     良

   雨漏りの盥の音が遠くなる       り


 そんな男に見つめられていると、現実が現実でないような気がして音が遠ざかって行く。


   雨漏りの盥の音が遠くなる       り

    惚れ薬かもしれぬ梅雨茸       季


 折しも梅雨で、妖しげなきのこが生えている。その外観はなんとも淫靡で惚れ薬かもしれぬと妄想する。


    惚れ薬かもしれぬ梅雨茸       季

   こひびとよ冷えピタの貼り方が雑    槐


 恋仲となったが、その相手は何につけ雑な性格なのだった。


   こひびとよ冷えピタの貼り方が雑    槐

    高校生の髷を切るのみ        祐


 雑な性格の人物の生業は体育教師かなにかで、校則違反の髷を容赦なく切る。


    高校生の髷を切るのみ        祐

   校庭にサッカーボール忘れられ      じ


 断ち切れぬ思いの象徴として、サッカーボールを配している。余談ながらエイゼンシュタインなどによる映画のモンタージュ手法は、俳諧の付け合いと同じだということがしばしば指摘されている。


   校庭にサッカーボール忘れられ      じ

    笛を吹くのは繊き寒月        み


 歌仙構成のなかで二花三月ということばがあり、花の座を二回、月の座を三回置きそれぞれ花と月を愛でるものとされている。表六句の月の座がクイズ番組仕立てとなってしまったので、ここでは旧来の情趣としている。ただし前句が「サッカーボール」なので周到に丸い月は避け「繊き寒月」としている。


    笛を吹くのは繊き寒月        み

   虎に似て二尺足らずの猫を抱く     良


 さらに虎を配せば旧来の情趣に付き過ぎとなるところ、猫としているところに諧謔がある。


   虎に似て二尺足らずの猫を抱く     良

    濡れ縁といふゆふべの湿り      り


 ずっと人が出ているので、遣り句として空間に転じた。遣り句とは、その一句にあまり意味を持たせず先送りにする方法である。


    濡れ縁といふゆふべの湿り      り

   借景の吉野山より花吹雪        季


 花の座はそんな縁側から見えるものとして借景の吉野山を詠んだ。ここから春の句が続く。


   借景の吉野山より花吹雪        季

    をみなとをみなふらここを漕ぐ    槐


 前句の遠景に対し、近景を配している。女同士がブランコを漕いでいる。「をなご」ではなく「をみな」であるところにただならぬ気配がある。

 

七吟歌仙「溜め池の巻」評釈1  投稿者:ゆかり  投稿日:2019年 3月14日(木)23時52分41秒

   皆さん、ご感想ありがとうございました。ぐみさんのリクエストもあり、しばらく評釈を書きます。茶々歓迎します。


   溜め池に立つや大波春嵐       由良


 発句は歌人の由良さんから頂いた。プロパーな俳人ならこの位置に「や」を置くことはないだろう仕上がりとなっていて面白い。俳人であれば、切れは一箇所というセオリーでまず「溜め池に大波立つや春嵐」とすると思うが、「溜め池に立つや」で何が立ったのだと読者に思わせつつ、一気に「大波」「春嵐」と畳みかけたことにより、「大波」のインパクトが強くより印象的になっている。


   溜め池に立つや大波春嵐       由良

    落つる椿の地になせる円     ゆかり


 脇は春の嵐で落ちた椿が土の上で円をなしているさまを詠んだ。椿は花びらが散るのではなく、花のかたまりごと落ちるので、落ちたあと飛散することがない。「落つる」とはいうものの、発句の動に対し静のイメージで脇としている。


    落つる椿の地になせる円     ゆかり

   雛の客シャネルスーツを着こなして  由季


 第三は発句と脇の挨拶から離れ、連句としての展開の始まりとなる。ここでは発句と脇が叙景に徹していたのに対し、おしゃれな人物を描いている。


   雛の客シャネルスーツを着こなして  由季

    柔軟剤は日なたのかをり       槐


 おしゃれな人物に対して柔軟剤の香りを指摘するのは実社会では底意地が悪いかも知れないが、そこは俳諧。冷徹な描写である。槐さんは歌人にして俳人。


    柔軟剤は日なたのかをり       槐

   名月を誤答と思ふ押しボタン     大祐


 月の座は柳人の大祐さん。前句をCMと見立てたものか、クイズ番組の設定で付けている。相手が俳人だったら「月の座っていうのは月を愛でるものです、もう一句どうぞ」と言うところだが、そんなことを言ったらわざわざ柳人をお呼びした意味がないので、ここは頂くしかない。表六句にしては面白すぎる展開である。


   名月を誤答と思ふ押しボタン     大祐

    道に迷ひし白帝の夜        けんじ


 陰陽五行説で秋は白を配することから、白帝は秋を司る神。前句で「誤答」と言われた神がうろたえて、道に迷っているのだ。

 

春雨  投稿者:玉簾  投稿日:2019年 3月11日(月)22時48分22秒

  ゆかりさん、みなさま

お相手いただきありがとうございました。

本当に久しぶりだったので要領が悪かったところ、ゆかりさんの捌きに救われました。

ビートルズ連句、たのしかったです。そして、うさぎさんの句に似ていますね。

すっかり忘れておりましたが、どこかで覚えていたのかもしれません。


みなさま、楽しかったです。また遊んでください!!  

春雨満尾  投稿者:青猫  投稿日:2019年 3月11日(月)21時13分41秒

  <春雨>の日に満尾♪

ゆかりさん、連中の皆さま、ありがとうございました。

ゆかりさんにはたくさんのアドバイス、

勉強になりました。

二巻同時の捌き、驚きです。

また、機会があれば・・・


萩原朔太郎「天景」

 しずかにきしれ 四輪馬車


<四輪馬車:しりんばしゃ>と

この詩では読みますよね(「よりんばしゃ」というのもあるようですが)。


「しずかに」のshi、

「きしれ」のshi、

「四輪馬車」のshiの


韻・響きで「shi」でしょうか。


四輪駆動(よんりんくどう)は21世紀からかしら?


朔太郎の父親は四輪馬車ならぬ「人力車で往診」と

祖母から聞いています。



 

祝 溜め池満尾  投稿者:けんじ  投稿日:2019年 3月11日(月)20時37分14秒

  初めて参加させていただきました。

右も左もよく分からず大変でしたが

楽しかったです。皆様にはいろいろ

ご迷惑おかけして申し訳ありませんでした。

どうもありがとうございました。  

歌仙「春雨」の巻、満尾祝い  投稿者:遊凪  投稿日:2019年 3月11日(月)19時25分30秒

  ゆかりさん、連衆の皆さん こんにちは。

歌仙「春雨」の巻、満尾おめでとうございます。

変化に富んだ面白い巻でした。


ゆかりさん、二巻同時進行のお捌きも凄いですね。

良い経験となりました。有難うございました。

またの機会に・・よろしくお願いします。

 2019/03/11 遊凪

 

春雨・満尾  投稿者:媚庵  投稿日:2019年 3月11日(月)17時03分16秒

  おつかれさまでした。

思わぬ周りの速さに、うっかりしていて

ご迷惑をおかけしました。

二巻同時進行の掲示板もめまぐるしく

刺激が絶えず、楽しく過ごさせていただきました。  

春雨  投稿者:裕美  投稿日:2019年 3月11日(月)00時45分30秒

  みなさま、お世話になりました。

ルールも何も分からず参加させていただいて、ちょっと気を抜くとまんまとまたルールを忘れて…。

だけど、とても面白かったです。

自分だけでは行かない方向性になったりするのも刺激的でした。

またぜひ参加させていただければうれしいです!

どうもありがとうございました!  

春雨満尾  投稿者:ゆかり  投稿日:2019年 3月11日(月)00時40分34秒 編集済

   凱さん、ありがとうございます。五句目を頂きます。「遠浅の海」ではなく「遠浅の街」であるのが眼目ですね。此の世ならざる、少なくとも日本ではなさそうな景を感じます。


   春雨や剥けば魚肉のやはらかさ    凱

    折檻のごと恋猫のこゑ     ゆかり

   朧夜の香のたちのぼる水辺にて   青猫

    乗り捨てられた四輪駆動     媚庵

   畑まで残月を背に向かひたり    遊凪

    息吹きかけて磨く紅玉      裕美

ウ  よそいきで急ぐ芒の波の道     玉簾

    湘南までぢや話し足りない     凱

   生命の起源の棒の如きもの      り

    シーラカンスとなるまで眠る    猫

   聞きたての都市伝説を反芻し     庵

    今でも残る巴里の地下街      凪

   大長編映画の果てて月涼し      美

    人肌ほどの合歓の木の下      簾

   地元では代打の神様と呼ばれ     凱

    野次将軍も四年契約        り

   言の葉はやや脂じみ花の雨      猫

    酸素ボンベの重き遅き日      庵

ナオ 蝌蚪の紐バケツに入れて児ら帰る   凪

    あらゆるものに名前をつけて    美

   玉葱を刻む前から泣いてをり     簾

    ミラーボールに乗つて銀座へ    凱

   裏筋の画廊でお湯が沸いてゐる    り

    夕日にまぎれ一角獣が       猫

   男装の麗人の襟巻の紺        庵

    腕を組もうと誘ふウインク     凪

   疑問符を投げ掛け合つて長き夜    美

    夢の中でも揺るる撫子       簾

   霧の辺をローソク足がついてきて   凱

    ぽつかり上がる終値と月      り

ナウ 白地図を開けば青き風ばかり     猫

    バンガローから女声合唱      庵

   車椅子で小径をつたふ老夫婦     凪

    お守りのごと風船を持つ      美

   ひとひらの花が睫毛に降る日暮    簾

    ぶらんこ越しに遠浅の街      凱


起首:2019年 2月19日(火)

満尾:2019年 3月11日(月)

捌き:ゆかり


 これにて満尾とします。連衆の皆様、ありがとうございました。しばしご歓談下さい。


 

溜め池  投稿者:由季  投稿日:2019年 3月10日(日)23時36分24秒

  久しぶりに参加をさせていただき、楽しかったです。

後半、勢いありましたね。

ゆかりさま、皆様ありがとうございました。

 

春雨挙句  投稿者:凱  投稿日:2019年 3月10日(日)20時19分1秒

  すいません、失礼しました。お捌きお願いします。


一行の詩を雲雀が通る

すなずりのふくらむ春休

黄砂と花粉むつみあふまで

風光るまで眠れ仲人

ぶらんこ越しに遠浅の街  

えええ  投稿者:ゆかり  投稿日:2019年 3月10日(日)14時34分31秒

  凱さん、春の句にしましょう。  

春雨挙句  投稿者:凱  投稿日:2019年 3月10日(日)13時20分14秒 編集済

  打越具合の強弱で何種類か作りました。

あとは、ゆかりさんの捌きにお任せ致します。


お祈りのごと桟橋に待つ

シャボンだらけになつてお仕舞ひ

おもちやが海を埋め立てるまで

犀をねむらせ抽斗の奥  

溜め池  投稿者:大祐  投稿日:2019年 3月10日(日)06時12分23秒

  皆さま、お疲れさまでした。

たいへん素晴らしい句ばかりずっと並んでいて、感嘆の思いで見ていました。

それにひきかえ、私、案の定ルール違反やら遅滞やら、かなり礼儀に反することをしてしまいました。

「連句は初めて」というのは言い訳になりませんね。もう一度謝ります。申し訳ありませんでした。

ただ、難しかったけれど、とても楽しい二週間あまりでした。

もし、ほんとうにもしなのですが、またお声をかけていただければ幸甚に存じます。

ゆかりさん、皆さん、今回はありがとうございました。  

春雨ナウ花  投稿者:ゆかり  投稿日:2019年 3月10日(日)02時31分40秒

   玉簾さん、だいぶいい感じになってきましたね。


一句目…打越の「老夫婦」に障るような気もします。

二句目…往年のビートルズ連句の「ひとひらの花を肌に歩き出す うさぎ」を思い出したりもします。このときは玉簾さんが挙句でしたね。

http://www.asahi-net.or.jp/~xl4o-endu/renku10.htm


 気にせず二句目を頂くことにします。送り仮名はいらないでしょう。


   春雨や剥けば魚肉のやはらかさ    凱

    折檻のごと恋猫のこゑ     ゆかり

   朧夜の香のたちのぼる水辺にて   青猫

    乗り捨てられた四輪駆動     媚庵

   畑まで残月を背に向かひたり    遊凪

    息吹きかけて磨く紅玉      裕美

ウ  よそいきで急ぐ芒の波の道     玉簾

    湘南までぢや話し足りない     凱

   生命の起源の棒の如きもの      り

    シーラカンスとなるまで眠る    猫

   聞きたての都市伝説を反芻し     庵

    今でも残る巴里の地下街      凪

   大長編映画の果てて月涼し      美

    人肌ほどの合歓の木の下      簾

   地元では代打の神様と呼ばれ     凱

    野次将軍も四年契約        り

   言の葉はやや脂じみ花の雨      猫

    酸素ボンベの重き遅き日      庵

ナオ 蝌蚪の紐バケツに入れて児ら帰る   凪

    あらゆるものに名前をつけて    美

   玉葱を刻む前から泣いてをり     簾

    ミラーボールに乗つて銀座へ    凱

   裏筋の画廊でお湯が沸いてゐる    り

    夕日にまぎれ一角獣が       猫

   男装の麗人の襟巻の紺        庵

    腕を組もうと誘ふウインク     凪

   疑問符を投げ掛け合つて長き夜    美

    夢の中でも揺るる撫子       簾

   霧の辺をローソク足がついてきて   凱

    ぽつかり上がる終値と月      り

ナウ 白地図を開けば青き風ばかり     猫

    バンガローから女声合唱      庵

   車椅子で小径をつたふ老夫婦     凪

    お守りのごと風船を持つ      美

   ひとひらの花が睫毛に降る日暮    簾


 凱さん、挙句をお願いします。  

春雨  投稿者:玉簾  投稿日:2019年 3月10日(日)02時17分9秒

  母と居た写真の中の花の色

ひとひらの花が睫毛に降る日暮れ


いかがでしょうか。  

すみません  投稿者:玉簾  投稿日:2019年 3月10日(日)01時11分50秒

  蟻は夏でした。

皆様少しお時間くださいませ。

 

春雨  投稿者:玉簾  投稿日:2019年 3月10日(日)00時34分51秒

  尊厳を掲げて進む花の道

という感じでしょうか。ちょっとカタイですね


ありんこが乗って流れる花筏


ではいかがでしょう。  

春雨  投稿者:ゆかり  投稿日:2019年 3月 9日(土)23時39分31秒

  ううむ、玉簾さん、それは俳句の作り方です。


花の窓/縄文土器を接合す

花の中/天地万物にたましひ

尊厳を掲げて進め/花の中


のような切断を入れずに、一息でぺろっと詠んで下さい。

 

春雨ナウ花案追加  投稿者:玉簾  投稿日:2019年 3月 9日(土)23時32分38秒

  花の中天地万物にたましひ

尊厳を掲げて進め花の中


 

ナウ花案  投稿者:玉簾  投稿日:2019年 3月 9日(土)23時00分2秒

  花の窓縄文土器を接合す


遅くなりました。いかがでしょうか。  

溜め池お願い2  投稿者:ぐみ  投稿日:2019年 3月 9日(土)16時37分6秒

  お捌きさま、お手数をおかけしてしまい、恐縮です。

      ご迷惑かけついでにお願いです。

      以前、歌仙満尾の後で、解説をして下さったことがありましたが、

      今回も、お願いできませんでしょうか。


      ご無沙汰の後で、参加させて頂き、大分様子が違い

      句の意味に戸惑うことが多かったものですから。

      私だけの問題かもしれませんが・・・。

 

溜め池  投稿者:由良  投稿日:2019年 3月 9日(土)16時02分37秒

  初めての歌仙、楽しかったです。

皆様、どうもありがとうございました。

またご一緒に旅ができればと思います。  

あれ?  投稿者:ゆかり  投稿日:2019年 3月 9日(土)15時49分2秒

  もとい、ナオ月とナウ花が似たようなものになってしまいました。「天地を笑みの広ごる花盛り」とします。


   溜め池に立つや大波春嵐       由良

    落つる椿の地になせる円     ゆかり

   雛の客シャネルスーツを着こなして  由季

    柔軟剤は日なたのかをり       槐

   名月を誤答と思ふ押しボタン     大祐

    道に迷ひし白帝の夜        けんじ

ウ  異土晴れて八万人の阿波踊り     ぐみ

    ロベスピエールの目をした男     良

   雨漏りの盥の音が遠くなる       り

    惚れ薬かもしれぬ梅雨茸       季

   こひびとよ冷えピタの貼り方が雑    槐

    高校生の髷を切るのみ        祐

   校庭にサッカーボール忘れられ      じ

    笛を吹くのは繊き寒月        み

   虎に似て二尺足らずの猫を抱く     良

    濡れ縁といふゆふべの湿り      り

   借景の吉野山より花吹雪        季

    をみなとをみなふらここを漕ぐ    槐

ナオ 鈍器群ボートレースに撒かれつつ    祐

    デカの直感ホシは老人        じ

   地球とて宇宙に光る青き点       み

    蚤ひねりつつ面壁三年        良

   泥団子切つて食みたる石のうへ     り

    子役の台詞たつたひとこと      季

   ラジオ置く張り出し窓の冬ざるる    槐

    象徴界を銀世界へと         祐

   乗換の小さき駅の屋根長く       じ

    健さんに似し夜学生ゐて       み

   照らしあふ名残の月とわれの顔     良

    下り簗には水の音ばかり       り

ナウ 土手に飼ふ除草のための山羊二頭    季

    右の乳房の入れ墨の赤        槐

   恋人の肉よ機械になり給へ       祐

    次々消える魔界よりこゑ       じ

   天地の笑みの広ごる花盛り       み

    旅の果たての沖霞みたり       良


起首:2019年 2月23日(土)

満尾:2019年 3月 9日(土)

捌き:ゆかり

 

溜池満尾  投稿者:田中槐  投稿日:2019年 3月 9日(土)15時39分9秒

  みなさまお疲れ様でした。

あっというまでしたね。

後半のアグレッシブな感じが楽しかったです。


ゆかりさま

また、お誘いください。  

溜め池・満尾  投稿者:ゆかり  投稿日:2019年 3月 9日(土)15時35分1秒

   由良さん、ありがとうございます。一句目が景が大きくていいでしょう。前句の空と大地に対し海を配しているのもいいと思います。「果たて」は万葉集に用例のある古いことばなのですね。

 ぐみさん、では「ゐて」にします。「似る」は「似し」の方がいいでしょう。

 けんじさん、その前の句の「乗り換え」、送り仮名がうるさいので表記しないものとします。


   溜め池に立つや大波春嵐       由良

    落つる椿の地になせる円     ゆかり

   雛の客シャネルスーツを着こなして  由季

    柔軟剤は日なたのかをり       槐

   名月を誤答と思ふ押しボタン     大祐

    道に迷ひし白帝の夜        けんじ

ウ  異土晴れて八万人の阿波踊り     ぐみ

    ロベスピエールの目をした男     良

   雨漏りの盥の音が遠くなる       り

    惚れ薬かもしれぬ梅雨茸       季

   こひびとよ冷えピタの貼り方が雑    槐

    高校生の髷を切るのみ        祐

   校庭にサッカーボール忘れられ      じ

    笛を吹くのは繊き寒月        み

   虎に似て二尺足らずの猫を抱く     良

    濡れ縁といふゆふべの湿り      り

   借景の吉野山より花吹雪        季

    をみなとをみなふらここを漕ぐ    槐

ナオ 鈍器群ボートレースに撒かれつつ    祐

    デカの直感ホシは老人        じ

   地球とて宇宙に光る青き点       み

    蚤ひねりつつ面壁三年        良

   泥団子切つて食みたる石のうへ     り

    子役の台詞たつたひとこと      季

   ラジオ置く張り出し窓の冬ざるる    槐

    象徴界を銀世界へと         祐

   乗換の小さき駅の屋根長く       じ

    健さんに似し夜学生ゐて       み

   照らしあふ名残の月とわれの顔     良

    下り簗には水の音ばかり       り

ナウ 土手に飼ふ除草のための山羊二頭    季

    右の乳房の入れ墨の赤        槐

   恋人の肉よ機械になり給へ       祐

    次々消える魔界よりこゑ       じ

   天地の笑み交し合ふ花盛り       み

    旅の果たての沖霞みたり       良


起首:2019年 2月23日(土)

満尾:2019年 3月 9日(土)

捌き:ゆかり


 すごい、半月で巻いちゃいましたね。連衆の皆様、お疲れ様でした。しばしご歓談下さい。

 

溜め池・お願い  投稿者:ぐみ  投稿日:2019年 3月 9日(土)13時11分3秒

  お捌きさま


  今頃気がつきましたが、


  溜め池に立つや大波春嵐       由良


  から始まっているので、


  乗り換えの小さき駅の屋根長く     じ

    健さんに似る夜学生立ち      み


     掲句を 「夜学生いて」 に変更をお願いしたいのですが・・・・


   「駅」といえば、健さんでしょうという俗な発想で恥ずかしい限りです。  

溜め池挙句  投稿者:由良  投稿日:2019年 3月 9日(土)12時12分17秒

  旅の果たての沖霞みたり

蜜吸ふ蝶に雨あたたかし

陽炎追うて三叉路に来つ


あっという間に挙句ですね。

いかがでしょうか…

お捌きお願い致します。  

溜め池ナウ花  投稿者:ゆかり  投稿日:2019年 3月 9日(土)09時14分40秒

   ぐみさん、ありがとうございます。「願ひ」とか「無辺光」まで行くと前句「魔界」に引きずられ過ぎのようにも感じますので、二句目を切れの入らないように少し直して頂きます。


   溜め池に立つや大波春嵐       由良

    落つる椿の地になせる円     ゆかり

   雛の客シャネルスーツを着こなして  由季

    柔軟剤は日なたのかをり       槐

   名月を誤答と思ふ押しボタン     大祐

    道に迷ひし白帝の夜        けんじ

ウ  異土晴れて八万人の阿波踊り     ぐみ

    ロベスピエールの目をした男     良

   雨漏りの盥の音が遠くなる       り

    惚れ薬かもしれぬ梅雨茸       季

   こひびとよ冷えピタの貼り方が雑    槐

    高校生の髷を切るのみ        祐

   校庭にサッカーボール忘れられ      じ

    笛を吹くのは繊き寒月        み

   虎に似て二尺足らずの猫を抱く     良

    濡れ縁といふゆふべの湿り      り

   借景の吉野山より花吹雪        季

    をみなとをみなふらここを漕ぐ    槐

ナオ 鈍器群ボートレースに撒かれつつ    祐

    デカの直感ホシは老人        じ

   地球とて宇宙に光る青き点       み

    蚤ひねりつつ面壁三年        良

   泥団子切つて食みたる石のうへ     り

    子役の台詞たつたひとこと      季

   ラジオ置く張り出し窓の冬ざるる    槐

    象徴界を銀世界へと         祐

   乗り換えの小さき駅の屋根長く     じ

    健さんに似る夜学生立ち       み

   照らしあふ名残の月とわれの顔     良

    下り簗には水の音ばかり       り

ナウ 土手に飼ふ除草のための山羊二頭    季

    右の乳房の入れ墨の赤        槐

   恋人の肉よ機械になり給へ       祐

    次々消える魔界よりこゑ       じ

   天地の笑み交し合ふ花盛り       み


 由良さん、挙句をお願いします。おめでたい春の句でしめて下さい。  

春雨ナウ4  投稿者:ゆかり  投稿日:2019年 3月 9日(土)09時09分26秒

   裕美さん、ありがとうございます。三句目がいいでしょう。


   春雨や剥けば魚肉のやはらかさ    凱

    折檻のごと恋猫のこゑ     ゆかり

   朧夜の香のたちのぼる水辺にて   青猫

    乗り捨てられた四輪駆動     媚庵

   畑まで残月を背に向かひたり    遊凪

    息吹きかけて磨く紅玉      裕美

ウ  よそいきで急ぐ芒の波の道     玉簾

    湘南までぢや話し足りない     凱

   生命の起源の棒の如きもの      り

    シーラカンスとなるまで眠る    猫

   聞きたての都市伝説を反芻し     庵

    今でも残る巴里の地下街      凪

   大長編映画の果てて月涼し      美

    人肌ほどの合歓の木の下      簾

   地元では代打の神様と呼ばれ     凱

    野次将軍も四年契約        り

   言の葉はやや脂じみ花の雨      猫

    酸素ボンベの重き遅き日      庵

ナオ 蝌蚪の紐バケツに入れて児ら帰る   凪

    あらゆるものに名前をつけて    美

   玉葱を刻む前から泣いてをり     簾

    ミラーボールに乗つて銀座へ    凱

   裏筋の画廊でお湯が沸いてゐる    り

    夕日にまぎれ一角獣が       猫

   男装の麗人の襟巻の紺        庵

    腕を組もうと誘ふウインク     凪

   疑問符を投げ掛け合つて長き夜    美

    夢の中でも揺るる撫子       簾

   霧の辺をローソク足がついてきて   凱

    ぽつかり上がる終値と月      り

ナウ 白地図を開けば青き風ばかり     猫

    バンガローから女声合唱      庵

   車椅子で小径をつたふ老夫婦     凪

    お守りのごと風船を持つ      美


 玉簾さん、花の座をお願いします。「花」の字だけで象徴的に桜の花を詠み上げて下さい。  

溜め池  投稿者:ぐみ  投稿日:2019年 3月 9日(土)06時43分24秒

  ナウ 土手に飼ふ除草のための山羊二頭    季

    右の乳房の入れ墨の赤        槐

   恋人の肉よ機械になり給へ       祐

     次々消える魔界よりこゑ      じ


    花満ちて天上天下和の願ひ      み


    天地の笑ひ合ふなり花盛り      〃


    花らんまん飛天の誘ふ無辺光     〃


      如何でしょうか。

 

春雨ナウ4  投稿者:裕美  投稿日:2019年 3月 9日(土)06時11分1秒

  擦れて丸くなつていく螺子

パン屑少しずつこぼしつつ

お守りのごと風船を持つ

どこかでお菓子焼くにほひして


いかがでしょうか…?

お捌きくださいませ。

 

溜め池  投稿者:ゆかり  投稿日:2019年 3月 8日(金)23時29分59秒

   けんじさん、ありがとうございます。

なんかもう、みんな名残裏なのに面白すぎます。

三句目を頂きます。

ぐみさん、格調高い、これが花の座だという花の座をお見舞いして下さい。  


溜め池ナウ4  投稿者:けんじ  投稿日:2019年 3月 8日(金)23時20分47秒

  未来都市めく四方の春へと  けんじ

近未来めく新宿にゐて

次々消える魔界よりこゑ


お捌きよろしくお願いします。  


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