2022年7月7日木曜日

掲示板過去ログ55

 2012年 6月 7日(木)07時17分56秒から2012年 6月17日(日)14時56分15秒まで。




(4)を振り返って  投稿者:らくだ  投稿日:2012年 6月17日(日)14時56分15秒

   今回は「余白のない句」がイマイチ分からなかったです。

 私がこんがらがった理由は、詩レ入では、定型短詩はすでに詩でありレトリックであり余白があると言っているところかなぁと。

 余白論で言えば、俳句の場合一物仕立てでも十七音の前と後で切れていると考えると、前後は余白になって、余白のない俳句というのはありえないんでは? というようなグルグル思考になったのでした^^;

 ちょうど、前に「俳句でないもの」で悩んだのと同じ感覚。

 なので、自分としてはだいぶ旧作の散文みたいな俳句もどきを出した次第。


 ただ、句会という場では、一句ずつ単品扱いなので、詩の改行の余白みたいな考え方を入れるのは無理があるなぁとも思いました。

 と同時に、切れがあれば余白、と単純に決めていいのかなと。

 ちょうど、七さんのファムファタルの句を最初切れていると見たのが正解ではない、ような。

 (まぁ、何が正解かは決められませんが)


 それでも、余白のない俳句ってなんなのだ? という疑問はまだグルグルしているのです……

 ていうか、余白の方はろくに疑問に思っていない方が問題あり……?


 はぁ…………やっぱり頭膿んじゃってます……orz  

 

 

ゆふぐれ  投稿者:らくだ  投稿日:2012年 6月17日(日)14時26分26秒

  早っ!もう出題してる!!

しかも、ソネット?歌仙?えええ~~~???


とりあえず、こちら。


   美しき髯をしごきて憂ひをり         河

    泥鰌鍋にて手打といたす          ん

   甘酒に酔つて三三七拍子           だ


お捌きください。  

あ、  投稿者:ゆかり  投稿日:2012年 6月17日(日)12時54分40秒

  どうぞ(4)の話もお続け下さい。  

待って~~  投稿者:令  投稿日:2012年 6月17日(日)12時39分54秒 編集済

  もう(5)なのですか。

私はまだ(4)の余白がどうだったのかというところが自分で見きれていません。

もうちょっと(4)について皆さんの意見をお聞きしたいたいなあ。


半歌仙、新体詩は賛成です。  

詩レ入句会(5)出題  投稿者:ゆかり  投稿日:2012年 6月17日(日)12時32分40秒

   というわけで、今回は文語定型詩と俳諧の余白の現れ方を味わってみたいと思います。


【文語定型詩】一篇(五七五/七五七交互ソネット形式)

または

【独吟半歌仙】一巻


投稿締切:6月23日(土)24:00(JST)

投稿宛先:yukari3434 のあとにアットマークと gmail.com


 余力のある方は両方でも構いませんし、二篇以上、二巻以上でも構いません。上記に適合していれば旧作でも構いません。


 

詩レ入  投稿者:ゆかり  投稿日:2012年 6月17日(日)12時13分27秒

   ひゃあ、新体詩ですか。う~む。


 ところでp.40の「つまり、行かえは、物語の展開をになっているのではなく、客観、主観、主観の客観化といった千鳥をめぐる観点の移動を可能にしているのだ」というくだり、なにかを思い出しませんか。


 これって、じつに我らが俳諧の、自他場に近いものを感じます。物語の単調さを救うための余白の技法が、反対向きに物語性を否定する俳諧の付け方の技法に近いものとして現れるところに、俳人としての私は妙味を覚えます。  

「連作」案は是と思いますが、。。が  投稿者:銀河  投稿日:2012年 6月17日(日)01時21分56秒

  私の案として、まずテキストに則って、「余白」の生じるきっかけとなった「新体詩」を一篇作ってみたらどうですか?ソネット形式(315ページ前後に少し詳しく出ています)


それと、連作.秋桜子流(設計図方式)、と誓子流(多作構成ーモンタージュ法)どちらか一篇、むづかしいかな?むずかしいね。


というのは、連作形式の前の携帯として、新体詩があること。


秋桜子、誓子の挫折のあとも、連作法の影響は、

高屋窓秋、高柳重信の多行俳句にひきつがれてゆきます。多行、とか一行空白、の書き方は、は、そのまま余白の視覚化であり。これは、伊丹三樹彦や伊丹公子の一字空け俳句にもつながってくるので、発端というものを見ておく必要がある、と思います。

今の俳句は、俳句史の遺産を吸収していますが、元の形は忘れれれがちなので、一度立ち明かえってみたらいかがでしょう。

以上「入魂の寸感」。  

詩レ入  投稿者:ゆかり  投稿日:2012年 6月17日(日)00時09分30秒

   次の出題をめぐりいろいろ考えているのですが、次の節は「2 構成された余白、文語定型詩」。藤村や泣菫、有明をめぐる話なので、はなはだ句会の出題のネタにしづらく…。話を飛躍して連作俳句にからめてみましょうか。構成というなら、例えば誓子。


  航行


船厨(せんちゆう)の蠅青潮に向きて去る

船欄は蠅ををらしめ浪を白(しら)め

夏の夕餐(ゆふげ)船は蛇輪(だりん)をまはすなる

顔こすり睡(ねむ)がる子よ夏の海暮るる

夏の夜の星ひとつ撰(え)りて船にかかぐ

船に垂れ晩夏星座のみづみづしさ

夏のあさ薄翅蟲類船とすすむ


(昭和十二年)  

ゆふぐれ  投稿者:ゆかり  投稿日:2012年 6月16日(土)23時49分29秒

   まにょんさん、どうも。


   ゆふぐれの舌の薄さや著莪の花        令

    生まれつつあるはつなつの闇      ゆかり

   元栓は閉めたはずだが気になつて      銀河

    鳩吹く人の仰ぐなかぞら       まにょん

   一陣の風に水面の月ゆれて        らくだ

    拍子木の音たかき地歌舞伎         令

ウ  酒癖の悪き郎党ばかりなり          り

    一目惚れしたその腕つぷし         河

   序の口に乗れば染まつてゆくからだ      ん

    藍の褪めたる衣まとへば          だ

   雑巾を固くしぼつて作務開始         令

    餅肌いまや皸の日々            り

   氷下魚釣る糸を滑りし月の影         河

    胸張り少年大志抱けと           ん

   うたひつつTOKIOが走るCMの      だ

    制作室をよぎる星蝕            令

   代々を花読みとして床にあり         り

    ここで別れる楠若葉道           河

ナオ 振り向けば春の波間に人魚の尾        ん

    姉はいつでも妹思ひ            だ

   坪庭にすずめのための米を撒き        令

    いづかたよりか金鵄鳳凰          り

   美しき髯をしごきて憂ひをり         河

    泥鰌鍋にて手打といたす          ん


 らくださん、続けて下さい。  

ゆふぐれ  投稿者:まにょん  投稿日:2012年 6月16日(土)16時33分36秒

     いづかたよりか金鵄鳳凰           り

   美しき髯をしごきて憂ひをり         河


     泥鰌鍋にて手打といたす         ん


お捌きください。  

おお  投稿者:ゆかり  投稿日:2012年 6月16日(土)11時18分18秒

   銀河さん、入魂の寸感ですね。いつの間にか自由詩の土俵で物を言っていたかはさておき、確かに皆さんの選評、いつになく面白く刺激的でした。


 個人的には七さんの句にはまるはまる。噴水の句は取り損ねました。  

寸感  投稿者:銀河  投稿日:2012年 6月16日(土)02時13分19秒

  それぞれの選句の基準が面白かった。

余白を探しつつ。余白を埋める言葉を探しているところもあり、俳句と詩の境界知ろうとして、いつの間にか、自由詩の土俵で物を行っている結果となっている。

余白とは俳句ではキレの切断面と似ている。

自由詩では比喩の生じる飛躍点あるいは面の場所に生じている。

現代俳句、という言い方で、肯定的に捉えられるのが、比喩の飛躍を定型で締める・あるいは定型の(構造の)当たり前さを比喩のユニークさや奇抜さでやぶる。このバランス感覚で最終的に完結感を与えるものが好感度や共鳴性を高める、と言えよう。

それから、リズム、繰り返しながら、意味をずらしてゆくテクニック、ということが案外読み手にインパクトを与えるということも見えている。これは俳句が短い故に、キレを用いなければ強調点は、繰り返しか、発想の奇抜さに頼ってしまうからだ。

以上は、これらの句を技巧として見るからである。


俳句の詩樽所以はもう一つ、書かれている「意味」の深遠さ、あるいはあっけなさを探る興味ということがあり、これがワザやゲイ重用に傾いている現代俳句に、どういう作用をしているか、ということ、これは今回は、テーマ上あまり引き出されていない。

意味を限定したら、面白くなくなる場合が多いのは確かであるが・・。


「余白」の自覚、ということは、想像力の切亀裂をさしだすということで、危機感と同時にここになんでも盛り込めるという安定感を与える、ということではないだろうか?ちがっていたらお目汚しの展開になってしまうのですが、寸感。

下記に挙げた高得点、おみごと.


点にかかわらず。工夫や苦労のあとが見えて大変面白かったです。


五月雨や五人目の僧水に浮く       七   銀苑令

笹百合に小さき梯子隠しけり       令   銀ゆ苑裕七

うたかたや西日の部屋に金盥       苑を  銀令ら裕

フルート一管はや夏雲をたづさへて    令   銀苑ら

蛇苺水より水の記憶持ち         七   銀ゆ苑令ら

日が星の後を通り心太          裕   銀ゆ七

噴水に寄りかかろうとしていたり     七   銀苑令ら裕

陰陽の金環あおぐ薄暑かな        らくだ 銀ゆ

精確に蠅の軌跡を打ちにけり       ゆかり 銀

陽炎また陽炎あたし休みたい       銀河  ゆら

 

詩レ入(4)作者発表  投稿者:ゆかり  投稿日:2012年 6月15日(金)23時21分34秒

  【切字があって余白がある俳句】

海鼠噛みおほせぬうちに死は来たり    銀河

菜の花や青ざめるほど世はひろく     銀河  七

情報の地図の先立つ祭かな        銀河  ゆ

金鳥の美空ひばりの忌なりけり      銀河  裕

佞臣のとらえられたり蟻地獄       銀河


ほととぎす啼くや方程式の外       らくだ 七

おはようと応えて四葩ゆれにけり     らくだ

陰陽の金環あおぐ薄暑かな        らくだ 銀ゆ


砂噛みのまま窓締めぬ椎の花       裕   銀令

熊ん蜂古木の小花散りにけり       裕

禅寺の蛍光灯や雀蜂           裕   ら


短夜や心臓の音の耳を圧す        七

夏野原幽霊船は降り立ちぬ        七   令

五月雨や五人目の僧水に浮く       七   銀苑令


夕顔や愛など知らなくてもひらく     苑を  令

青梅雨の畳の上の凶器かな        苑を  ら七

うたかたや西日の部屋に金盥       苑を  銀令ら裕


見うしなふ蛍その闇発止とぞ       令

笹百合に小さき梯子隠しけり       令   銀ゆ苑裕七

うす闇のががんぼのゐる落涙や      令   苑


飛ぶ蠅は星のかたちを重ねけり      ゆかり 裕

モロゾフに口説かれてゐる梅雨入かな   ゆかり 裕

ワシコフの犬として夏木立かな      ゆかり 令


【切字がなくて余白がある俳句】

霜柱絶対地対空ミサイル         銀河

イヤリングかたっぱしから耳落とす    銀河  裕

ブローチの複眼燃やす虹二重       銀河

陽炎また陽炎あたし休みたい       銀河  ゆら

風速は蒙古の地平線を翔け        銀河


早苗田の中に空あり鳥が飛ぶ       らくだ

金星は梅雨の気配の向こう側       らくだ 令七

白百合がいまさら知らぬふりなんぞ    らくだ 令


薄切りのハムをむしゃむしゃ栗の花    裕   七

耳かきの柄が欠けました窓守宮      裕

パンゲアの夢を蛙の目借時        裕


蛇苺水より水の記憶持ち         七   銀ゆ苑令ら

昼寝より影を残して帰ろうか       七

黒南風の重たき腕のリボン解く      七   苑


レース編む指からひかり零れ落つ     苑を

あかあかと朱夏の果実の滴れり      苑を  ゆ

非常階段に白シャツの干されあり     苑を  ら


樺美智子の視界へ白薔薇剪る       令   苑七

洗濯機の水のまはつて梅雨に入る     令

フルート一管はや夏雲をたづさへて    令   銀苑ら

ラピスラズリの青から夏の夜を繰る    令   苑ら

昼顔のフェンスに多神教の神       令   ゆ苑


鰻食ふ西郷の犬雲の峰          ゆかり 裕

蠅を打ち乳房の揺れの収斂す       ゆかり

パブロフが大好きな犬夕薄暑       ゆかり


【余白がない俳句】

唐突にテロップ流れ揺れ極む       銀河  裕

おみやげは菜の花漬けと西京漬け     銀河  七

国境を超えた線路が熱きまま       銀河

きょうからはもういないのだあのひとは  銀河


香水の名前がちょっと恥ずかしい     らくだ ゆ


万緑や孫文先生像白斑          裕

日が星の後を通り心太          裕   銀ゆ七

かたつむりブルーシートに竹輪天     裕


ファムファタル着る物がない更衣     七   ゆら

噴水に寄りかかろうとしていたり     七   銀苑令ら裕

孤立死のニュ-スを聞いて蛍狩り     七


鋭角を描いて迫る蠅を打つ        ゆかり

梅雨入のタチアナ・ニコラーエワの犬   ゆかり 七

犬捕は瀑布の犬を捕らへけり       ゆかり 裕

精確に蠅の軌跡を打ちにけり       ゆかり 銀


(以上)


 しばしご歓談下さい。

 

詩レ入(4)選句  投稿者:七  投稿日:2012年 6月15日(金)22時38分43秒

  ○ほととぎす啼くや方程式の外

「方程式の外」で、余白か・・


○菜の花や青ざめるほど世はひろく

ちっぽっけな自分の存在に情けなさを思うのか・・菜花の黄と青ざめの青のコントラストが・・余白・・・か


○青梅雨の畳の上の凶器かな

痴話喧嘩でしょうか、何か、しっとり系ヌ-ボロマンの映画の一場面みたい。梅雨で湿った空間に乾いた手のうちのナイフで、余白・・か


○笹百合に小さき梯子隠しけり

お伽噺みたいに死と生が濃い。「小さき」は、どうよ!なんか、余白が小さい。


○樺美智子の視界へ白薔薇剪る

お会いしたことはございませぬが、この方ほど、野に咲く白薔薇が似合うヒトもいないかも、と思わせられる。


○金星は梅雨の気配の向こう側

スピルバ-グのE・Tはこの現象がヒントだったのだろうか、と、思った日。


○おみやげは菜の花漬けと西京漬け

月は東に日は西に、ですよね。


○薄切りのハムをむしゃむしゃ栗の花

もしかしたら、けっこうエロイ。薄切りのハムと栗の花の関係が、余白・・・か・・


○日が星の後を通り心太

希な宇宙ショ-と心太、これって、かなりな余白じゃない?


○梅雨入のタチアナ・ニコラーエワの犬

ユウトベで早速聴いてみました。ええですなあ。これも、余白が見える。




http://soup-stock7.blogspot.com/


 

詩レ入(4)選句  投稿者:野口裕  投稿日:2012年 6月15日(金)22時32分59秒

  最近、切れのあるなしにあまりこだわらなくなってきた。

極端に言えば、どうでも良いと思えてきた。

できるだけマニュアルのない状態で読みの言葉を紡ぎたい。

そんな気分の産物かも知れない。

余白のあるなしがよくわからないまま選んだ十句。

詩レ入が、レレレに見えるこの頃。



うたかたや西日の部屋に金盥

 金盥は雨漏りだろうか。「うたかた」という語にまつわる恋の気分を、金盥で切断した。


モロゾフに口説かれてゐる梅雨入かな

 いろいろと浮き名を流しているスケートコーチもいるが、チョコレートの方で鑑賞した。梅雨が明


けるとチョコレートに対する食欲は失せるから、食べるなら今のうち。


金鳥の美空ひばりの忌なりけり

 金鳥はよき枕なり蚊遣灰


笹百合に小さき梯子隠しけり

 「小さき梯子」が、笹百合の自生地の地形を連想させて効果的。


飛ぶ蠅は星のかたちを重ねけり

 綺麗なような、汚いような。両様の読後感を生じさせる奇妙な味わい。


イヤリングかたっぱしから耳落とす

 誇張が、荒々しくイヤリングを外す場面を効果的に盛り上げて、何が起こったのだろうと興味をか


き立てる。


鰻食ふ西郷の犬雲の峰

 西郷の犬ならば、そういうこともあるだろうと、妙に納得する。納得しつつも、雲の峰は尽きすぎ


ではないかと、かすかな違和感が残る。それが、西瓜に振りかける塩の役割を果たす。


犬捕は瀑布の犬を捕らへけり

 おそらく「幕府の犬」という成語の誤変換から生まれたのが、「瀑布の犬」だろうが、えらく想像


力をかき立ててくれる言葉だ。キャンキャンと甲高く鳴く犬ではなく、低くうなりつつ吠え立てる獰


猛な犬なのだろう。そこから、犬捕の姿も見えてくる。



唐突にテロップ流れ揺れ極む

 「流れ」は「揺れ」ではない。だが「揺れ」の極限が流れだと言われると、テロップに現れる情報


をぼやけさせて、光る文字自体の不思議さを感知させてくれる。


噴水に寄りかかろうとしていたり

 言葉のトリック。そんなことはないだろうが、引っかかるのも一興。

 

詩レ入(4)選句  投稿者:らくだ  投稿日:2012年 6月15日(金)17時47分49秒

  ◯うたかたや西日の部屋に金盥

 「うたかたや」が中七下五にそぐわないような、なんかヘンな感じが気になる。

 西日に焼かれる部屋も金盥もあんまり儚く感じないから、すべては消え去った過去の幻、なのか。

 とすれば、余白はこの世とあの世の境目かも。


◯青梅雨の畳の上の凶器かな

 不穏。凶器というからには犯行が終わっているわけで、「畳の上」というからにはここが現場で。

 どんな犯行にせよ、畳の上に凶器があるというだけで不穏な空気、さらに梅雨の湿っぽさが不穏な度合いを高めている。

 で、句の余白というより、この現場だけ周辺世界から断絶している、という余白。


◯禅寺の蛍光灯や雀蜂

 当然あるものなのに、考えたこともなかった「禅寺の蛍光灯」。

 雀蜂も禅寺にあまり似つかわしくない感じがする。そのアンバランスの妙。


◯フルート一管はや夏雲をたづさへて

 奏で出したとたん夏を呼ぶフルート。いいなぁ。

 青い空に立ち上がる夏の白い雲。澄んだフルートの音とあいまって、暑くなりそうな、でも爽やかな、気持ちのいい空気感がある。


◯ラピスラズリの青から夏の夜を繰る

 確かに、夏の夜を引き出すにはもってこいの色。水晶と同じくらい古くから儀式や呪術に使われた強力な霊石、らしい。そんなことを考え合わせると、呪術の景のようにも見える。


◯蛇苺水より水の記憶持ち

 蛇苺も水の記憶を持っているのだろうけど、蛇苺を見ている主体も、水の記憶を持っている。で、水自体は水の記憶を持っていない、ので「水より水の記憶持ち」なんじゃないだろうか。

 人間の体の7割は水なのだし、生まれる前は水の中に浮かんでいるわけだから、不思議でもなんでもないのかもしれない。

 なぜか、蛇は全然連想しなかった。


◯非常階段に白シャツの干されあり

 裏方さんの洗濯物っぽい。学校の用務員とか、会社の清掃係とか。あまり生活感のない建物あるいは職場の誰かの白シャツ。非常階段なのにまったく緊張感がないのがいい。


◯陽炎また陽炎あたし休みたい

 むむ、そういう理由で休めるのであれば、私も休みたい!

 でも、そういうズル休みじゃなくて、なんか神経が参ってるっぽい。この際、バーンと休暇届出して休んじゃえ!

 陽炎って、俳句作る立場としては春で詠むけど、実際は春より夏と思う。


◯ファムファタル着る物がない更衣

 「着る物がない衣更」って斬新!と思ったので一票。

 はじめは、上五で切れてて余白があるんじゃないの?と思ったが、よく考えたらファムファタルなんだから、裸なんだよ!ということなのだ。(多分^^;)


◯噴水に寄りかかろうとしていたり

 うっかり、噴水であることを忘れて、ということ? であれば……次の瞬間にはドッポーン!なのか、直前でハッと気がつくか。

 あるいは、出来るはずだと信じてほんとに寄りかかろうとしているのか。

 これ、どういう形状の噴水だろう?  

詩レ入(4)選句  投稿者:令  投稿日:2012年 6月15日(金)14時54分32秒

  ○うたかたや西日の部屋に金盥

 今は見かけない金盥、そして西日。一時代前の光景が彷彿としてくる。

 全てはうたかたであるなあとの思いが込められた「や」。


○ワシコフの犬として夏木立かな

 石榴を打ち落とすワシコフさんの犬なのですね。

「として」をどうとるべきかと悩むのですが、それは「夏木立かな」の間は切れだけでは

 理解出来ない余白があるあからなのでしょう。


○ 夏野原幽霊船は降り立ちぬ

 緑一色の野原の野原、空が大きく広がっている爽やかな景に幽霊船という異色な物。

 この取り合わせには大いなる余白がある。

 しかし、この句は【切字があって】の方に入っているのですが、「ぬ」を作者は切れ字としているのかな。


○ 五月雨や五人目の僧水に浮く

 吉岡実の「四人の僧」の五人目だと思うと何とも言えないシュール感。

 五と五を重ねる季語の持って来方も巧み。


○ 砂噛みのまま窓締めぬ椎の花

 窓が砂を嚙んでる音のじゃりじゃりいうのが聞こえてきそう。

 椎の花がいっぱいに咲いている前の窓なのでしょう。砂噛みというのが新鮮。


○夕顔や愛など知らなくてもひらく

 どちらかと言えば昼顔らしいのだが、昼顔ではなくて夕顔。

 夕顔の方が荒涼とした景なども引いているのかな。


○金星は梅雨の気配の向こう側

 注目された金星。私達は皆梅雨のしめりを前にして眺めたのだった。


○ 蛇苺水より水の記憶持ち

 草むらの中に真っ赤な宝石のような蛇苺。

 蛇苺と水はちょっと遠いようにも思われるのだが、あえて取り合わせたのは余白ということを意識してか。


○ 白百合がいまさら知らぬふりなんぞ

 「知らぬふり」は「白百合」の含む「しら」の音から導かれたか。

 「いまさら知らぬふり」なのだから知り尽くしてるわけで、

  純白といったものも多くはそうであるなあと改めて頷く。


○ 噴水に寄りかかろうとしていたり

 およそ寄りかかるべきでないものを持って来ている面白さ。

 

ゆふぐれ  投稿者:まにょん  投稿日:2012年 6月15日(金)01時05分1秒

  ふむ、あれこれと難しい。

しばしお待ちください。

訃報続きで、頭がとっちらかっております。

 

あああ、吉岡実  投稿者:ゆかり  投稿日:2012年 6月14日(木)22時46分49秒

  あっちは四人の僧侶で、それで「五人目の僧」なのか…。  

詩レ入(4)選句  投稿者:苑を  投稿日:2012年 6月14日(木)22時36分24秒

  切れは余白を生むが、切れがなくても余白は生まれるということだと思いますが…ハイ、むずかし。


☆うす闇のががんぼのゐる落涙や

うす闇のががんぼというぼんやりしたものに涙。どうしようもなさ、を感じて辛いです。


☆五月雨や五人目の僧水に浮く

一読、吉岡実の「僧侶」を思います。激しい雨と五人目の僧侶の死。ゾクッとしました。


☆笹百合に小さき梯子隠しけり

梯子からは期待とか希望とか、はたまた逃走とか…。笹百合なら恋の、かもしれず。


☆フルート一管はや夏雲をたづさへて

初夏の屋外。気持ちがいいですね。フルートの銀色の質感も涼やか。


☆ラピスラズリの青から夏の夜を繰る

パワーストーンとして人気みたいですが、キャッチコピーのような重さのなさが、明るい夏の夜空をうまく言いえていると思います。


☆樺美智子の視界へ白薔薇剪る

60年安保にあった、素朴さのようなものを感じます。


☆黒南風の重たき腕のリボン解く

「重たき」はどうよ、とは思うのですが、死者への思いの深さ(旧友と感じるのは黒南風のせいでしょうか)が好み。


☆蛇苺水より水の記憶持ち

「水より水の」は俳句らしいフレーズ。俳句で描けることのひとつのかたちですね。


☆昼顔のフェンスに多神教の神

フェンスという乾いたところに淡い昼顔。こんなところにいる神様はそうかもしれません。


☆噴水に寄りかかろうとしていたり

この気分はわかります。この気分は余白から生まれる?



 

詩レ入(4)選句  投稿者:ゆかり  投稿日:2012年 6月14日(木)21時21分15秒

  ○陰陽の金環あおぐ薄暑かな

 先日の金環日食から着想しているのであろうが、「陰陽の金環」が絶妙にすばらしい。他から切り取られた句の世界を感じる。


○笹百合に小さき梯子隠しけり

 ファンタジー読みも客観写生読みもできそうでいて、理に落ちる読みは結局のところできない。笹百合という空間の把握として、俳句にしかなし得ないアプローチを感じる。これも十分に余白を感じる。


○情報の地図の先立つ祭かな

 インターネットとかスマートホンとかを思い浮かべる訳だが、「情報の地図」という措辞がゆるがない。俳句の特権性を感じる。


○あかあかと朱夏の果実の滴れり

○蛇苺水より水の記憶持ち


 同じ人の句なのかも知れないし、そうでないのかも知れない。前句は具体的にずばりと示さず「朱夏の果実」と述べることによって滴りを感じさせようとしている。一方後者はいかにも俳句的な技巧に走り「水」のリフレインと形容矛盾により滴りを表現しようとしている。どちらもいかにも俳句的な、手練れ的な心地よさがあるが、それは余白なのだろうか。


○昼顔のフェンスに多神教の神

 「多神教の神」を具体的に示していないので、道祖神とか地蔵とかのありきたりなものである可能性もあるのだが、わざわざ「フェンス」を配合して韜晦しているところに妙味がある。立句の格調はないが、独立した一句の世界は感じる。


○陽炎また陽炎あたし休みたい

 このリフレインには反復ではなく脱出できない入れ子構造を感じる。口語の「あたし休みたい」がじつに効果をあげている。これもまたひとつの俳句である。


○ファムファタル着る物がない更衣

 こう言われると、魔性の女はいつも同じものを着ているような気がしてくる。でもそれでは魔性の女ではなく、ただの魔女とか魔法使いのおばあさんではないか。なんとも言えぬ諧謔を感じる。諧謔も俳句の重要な方法であるが、この句に余白はあまり感じない。


○香水の名前がちょっと恥ずかしい

 俳句の空間に散文をそのまま提示するレディメイドの手法によるものだが、読者が俳句として読むかぎり、俳句として成立する。ちなみに「香水の名前がちょっと恥ずかしい」をそのままキーワードとして検索すると、”青い時間”、”美しい季節”、”無限のバラ”、”城内で晩餐”、”私だけを愛して”など笑ってしまうものがヒットする。


○日が星の後を通り心太

 これも日食の句であるが、星の運行と単純な器具の配合が絶妙である。余白あり。


 

ゆふぐれ  投稿者:ゆかり  投稿日:2012年 6月14日(木)08時24分14秒

   銀河さん、ども。二句目を頂きます。何を憂いているのかは触れない方がよいでしょう。


   ゆふぐれの舌の薄さや著莪の花        令

    生まれつつあるはつなつの闇      ゆかり

   元栓は閉めたはずだが気になつて      銀河

    鳩吹く人の仰ぐなかぞら       まにょん

   一陣の風に水面の月ゆれて        らくだ

    拍子木の音たかき地歌舞伎         令

ウ  酒癖の悪き郎党ばかりなり          り

    一目惚れしたその腕つぷし         河

   序の口に乗れば染まつてゆくからだ      ん

    藍の褪めたる衣まとへば          だ

   雑巾を固くしぼつて作務開始         令

    餅肌いまや皸の日々            り

   氷下魚釣る糸を滑りし月の影         河

    胸張り少年大志抱けと           ん

   うたひつつTOKIOが走るCMの      だ

    制作室をよぎる星蝕            令

   代々を花読みとして床にあり         り

    ここで別れる楠若葉道           河

ナオ 振り向けば春の波間に人魚の尾        ん

    姉はいつでも妹思ひ            だ

   坪庭にすずめのための米を撒き        令

    いづかたよりか金鵄鳳凰          り

   美しき髯をしごきて憂ひをり         河


 まにょんさん、お願いします。  

ゆふぐれ  投稿者:銀河  投稿日:2012年 6月14日(木)02時05分0秒

  源平の合戦宇治の平等院 銀河


もしくは


美しき髯をしごきて国憂れう 銀河


「金鵄鳳凰」には物語がいっぱい詰まっていてこれだけで絵になる「得な」鳥たちだなあ。


お捌きください。  

ゆふぐれ  投稿者:ゆかり  投稿日:2012年 6月13日(水)20時14分20秒

     ゆふぐれの舌の薄さや著莪の花        令

    生まれつつあるはつなつの闇      ゆかり

   元栓は閉めたはずだが気になつて      銀河

    鳩吹く人の仰ぐなかぞら       まにょん

   一陣の風に水面の月ゆれて        らくだ

    拍子木の音たかき地歌舞伎         令

ウ  酒癖の悪き郎党ばかりなり          り

    一目惚れしたその腕つぷし         河

   序の口に乗れば染まつてゆくからだ      ん

    藍の褪めたる衣まとへば          だ

   雑巾を固くしぼつて作務開始         令

    餅肌いまや皸の日々            り

   氷下魚釣る糸を滑りし月の影         河

    胸張り少年大志抱けと           ん

   うたひつつTOKIOが走るCMの      だ

    制作室をよぎる星蝕            令

   代々を花読みとして床にあり         り

    ここで別れる楠若葉道           河

ナオ 振り向けば春の波間に人魚の尾        ん

    姉はいつでも妹思ひ            だ

   坪庭にすずめのための米を撒き        令

    いづかたよりか金鵄鳳凰          り


 銀河さん、よろしくお願いします。  

選句 余白はキレか?  投稿者:銀河  投稿日:2012年 6月13日(水)18時31分47秒

  むずかし。でした、


○ うたかたや西日の部屋に金盥

西日の黄色い日差しが深く差し込む一室に住む環境を憶測したくない。泡沫のような一生にはこういうシンプルな実質的な道具がかえって親しみやすい。金盥の中に泛ぶぬるい泡にも、深遠な無常の気配がある。


○ 陰陽の金環あおぐ薄暑かな

まさに太陰太陽の婚姻をまざまざと見せつけるしかしあっけない早朝の天体ショーであった。記念碑的一句。うっすらと暑い「薄暑かな」、という納得の仕方ががわかる。


○ 五月雨や五人目の僧水に浮く

 五月雨の大荒れのあと。行方不明だった僧のうち五人目の人が変わり果てた姿で浮かび上がる。「水」のイメージが上五に帰って円環を呈するので、この場合は水難にあったの僧の死体の姿しか出てこない。(作者の狙いもそこにあるだろう)。「や」と断定したことで、梅雨時の水害の凄まじさと共にただでさえ世を捨ててきた僧形の運命がさらに際立つ。


○ 砂噛みのまま窓締めぬ椎の花

窓枠の金属部分を作る折に砂が張り付いて出来てしまったのか、こういう鋳型の不良状態を「砂噛み」というらしいが、そうしてできた建築部品の建て付け悪くきしんでいる窓を、強引に構わず閉める。また窓の隙間から強い匂いが部屋にまで匂ってくるあつくるしさがよく出ている。二句一章の平凡な日常詠に見えるが、「砂噛み」がこういう解釈でいいのならばこの取合せは、自覚的でなくとも非凡。


○ 笹百合に小さき梯子隠しけり

 茎がスラリと伸び緑の細い葉が段々についている。花の形状の比喩が美しい。


○ フルート一管はや夏雲をたづさへて 広々した風景の中、旅の楽士の姿を彷彿し、また野 外音楽会を思わせる。曲目もその音色も夏の雲を連想させるのか、それは楽器にうとい選者にはわからないことだが。


○ 蛇苺水より水の記憶持ち

 蛇が水を連想させるのでよく付いている、というに尽きるが、地上の植物の蛇苺の濡れ濡れした生命力に、妖しい説得力がある。ただし。選者は水は好きだが蛇が嫌いなので、この句は愉快な内容ではない。


○ 日が星の後を通り心太

 めずらしくも天動説の句。人間の目から見あげた天上の風景。地に住むものが心太を好んで食べる理由とそれが結びつく訳でもないが、生活実感と宇宙への憧れが生き生きとしている。


○ 精確に蠅の軌跡を打ちにけり

 生活に役立つ技術を精確に行使し、書きとって自ずとユーモアを振りまいてくれる男子が好き。が、この人は、蝿そのものの実体を上手に正確に打ったのだろうか?


○ 噴水に寄りかかろうとしていたり

 時に人は、藻の葉でびっしり覆われた池の表面を歩こうとしたり、まっすぐ立った水の柱を堅牢な棒のように思うことがある。人間の錯覚はたのしくもあぶなかしい。  

ゆふぐれ  投稿者:ゆかり  投稿日:2012年 6月13日(水)00時07分0秒

   令さん、どうも。


   ゆふぐれの舌の薄さや著莪の花        令

    生まれつつあるはつなつの闇      ゆかり

   元栓は閉めたはずだが気になつて      銀河

    鳩吹く人の仰ぐなかぞら       まにょん

   一陣の風に水面の月ゆれて        らくだ

    拍子木の音たかき地歌舞伎         令

ウ  酒癖の悪き郎党ばかりなり          り

    一目惚れしたその腕つぷし         河

   序の口に乗れば染まつてゆくからだ      ん

    藍の褪めたる衣まとへば          だ

   雑巾を固くしぼつて作務開始         令

    餅肌いまや皸の日々            り

   氷下魚釣る糸を滑りし月の影         河

    胸張り少年大志抱けと           ん

   うたひつつTOKIOが走るCMの      だ

    制作室をよぎる星蝕            令

   代々を花読みとして床にあり         り

    ここで別れる楠若葉道           河

ナオ 振り向けば春の波間に人魚の尾        ん

    姉はいつでも妹思ひ            だ

   坪庭にすずめのための米を撒き        令


 次は私です。しばしお待ち下さい。  

ゆふぐれ  投稿者:令  投稿日:2012年 6月12日(火)11時05分36秒

  坪庭にすずめのための米を撒き   令


遅くなりました。お捌きください。  

詩レ入句会(4)投句一覧  投稿者:ゆかり  投稿日:2012年 6月11日(月)22時51分52秒 編集済

  お待たせしました。


【切字があって余白がある俳句】

うす闇のががんぼのゐる落涙や

うたかたや西日の部屋に金盥

おはようと応えて四葩ゆれにけり

ほととぎす啼くや方程式の外

モロゾフに口説かれてゐる梅雨入かな

ワシコフの犬として夏木立かな

陰陽の金環あおぐ薄暑かな

夏野原幽霊船は降り立ちぬ

海鼠噛みおほせぬうちに死は来たり

金鳥の美空ひばりの忌なりけり

熊ん蜂古木の小花散りにけり

見うしなふ蛍その闇発止とぞ

五月雨や五人目の僧水に浮く

砂噛みのまま窓締めぬ椎の花

菜の花や青ざめるほど世はひろく

笹百合に小さき梯子隠しけり

情報の地図の先立つ祭かな

青梅雨の畳の上の凶器かな

禅寺の蛍光灯や雀蜂

短夜や心臓の音の耳を圧す

飛ぶ蠅は星のかたちを重ねけり

佞臣のとらえられたり蟻地獄

夕顔や愛など知らなくてもひらく


【切字がなくて余白がある俳句】

あかあかと朱夏の果実の滴れり

イヤリングかたっぱしから耳落とす

パブロフが大好きな犬夕薄暑

パンゲアの夢を蛙の目借時

フルート一管はや夏雲をたづさへて

ブローチの複眼燃やす虹二重

ラピスラズリの青から夏の夜を繰る

レース編む指からひかり零れ落つ

鰻食ふ西郷の犬雲の峰

樺美智子の視界へ白薔薇剪る

金星は梅雨の気配の向こう側

黒南風の重たき腕のリボン解く

耳かきの柄が欠けました窓守宮

蛇苺水より水の記憶持ち

洗濯機の水のまはつて梅雨に入る

早苗田の中に空あり鳥が飛ぶ

霜柱絶対地対空ミサイル

昼顔のフェンスに多神教の神

昼寝より影を残して帰ろうか

白百合がいまさら知らぬふりなんぞ

薄切りのハムをむしゃむしゃ栗の花

非常階段に白シャツの干されあり

風速は蒙古の地平線を翔け

陽炎また陽炎あたし休みたい

蠅を打ち乳房の揺れの収斂す


【余白がない俳句】

おみやげは菜の花漬けと西京漬け

かたつむりブルーシートに竹輪天

きょうからはもういないのだあのひとは

ファムファタル着る物がない更衣

鋭角を描いて迫る蠅を打つ

犬捕は瀑布の犬を捕らへけり

孤立死のニュ-スを聞いて蛍狩り

香水の名前がちょっと恥ずかしい

国境を超えた線路が熱きまま

精確に蠅の軌跡を打ちにけり

唐突にテロップ流れ揺れ極む

日が星の後を通り心太

梅雨入のタチアナ・ニコラーエワの犬

噴水に寄りかかろうとしていたり

万緑や孫文先生像白斑


(以上)


10句選(特選、逆選なし)

選句締切:6月15日(金)24時(JST)

投稿先:ここ(選評ともども、じかに書き込み願います)


題に関わらず全体から10句選にてお願い致します。

整理の都合上、句の順番はそのままにして下さい。


ではよろしくお願い致します。  

詩レ入句会(4)  投稿者:ゆかり  投稿日:2012年 6月10日(日)10時58分39秒 編集済

   只今投句3名。6/11(月)22時JSTまでお待ちします。回ってしまったので、出題を再掲します。

 テキストは以下からお求めできます。

http://www.amazon.co.jp/dp/4783715556/

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 さて、いよいよ第Ⅱ章です。


Ⅱ 余白論の試み

1 余白の出現、ざしきぼつこのような (p.34)


 北川透は書きます。


 詩の出現とは、必ず(と言っていいほど)余白の出現である。だれもがそれを自明にして書き、読んでいながら、忘れている。


 ひるがえって、私たちの俳句の世界には切れ字というものがあります。仁平勝は『秋の暮』(沖積舎。1991年)に収められた「季語と切字」の中で次のように書いています(p.66)。


 (前略)じじつ切字のことを、「や」のように句中に意味的な切れをつくるものと理解している俳人が多い。俳諧でいう切れと、いわゆる区切れとがゴッチャになっているのだ。そういう人たちは、なぜか同じく代表的な切字である「かな」や「けり」のことを考えない。「かな」や「けり」のほうを考えればわかることだが、俳諧で切れというのは、発句が脇句にたいして切れるということだ。


(そして話は、なぜ「や」によって発句が脇句と切れるのかと続く。)


 さらにその一方で長谷川櫂の最近出た『一億人の「切れ」入門』(角川学芸出版。2012年)では、手許にテキストがないので正確ではありませんが、「この句の切れは俳句の前と後ろにある」的な表現で、句中の意味的な切れ以外のものを表現しています。(テキストをお持ちの方は、正確な引用でお助け下さい。)


 さて出題です。


【切字があって余白がある俳句】(3~5句くらい)

【切字がなくて余白がある俳句】(3~5句くらい)

【余白がない俳句】(余力のある方のみ)


投句締切:6月9日(土)24:00(JST)

投句宛先:yukari3434 のあとにアットマークと gmail.com


★整理の都合上、俳句の行には俳句以外の題とか記号とか俳号とか本名とかを書かず左詰で列挙願います。


 よろしくどうぞ。  

ゆふぐれ  投稿者:ゆかり  投稿日:2012年 6月10日(日)10時41分49秒

   らくださん、ども。謎の書き込みの「姉は、妹には手をだし、怒り狂う」の影響があるようですね。


   ゆふぐれの舌の薄さや著莪の花        令

    生まれつつあるはつなつの闇      ゆかり

   元栓は閉めたはずだが気になつて      銀河

    鳩吹く人の仰ぐなかぞら       まにょん

   一陣の風に水面の月ゆれて        らくだ

    拍子木の音たかき地歌舞伎         令

ウ  酒癖の悪き郎党ばかりなり          り

    一目惚れしたその腕つぷし         河

   序の口に乗れば染まつてゆくからだ      ん

    藍の褪めたる衣まとへば          だ

   雑巾を固くしぼつて作務開始         令

    餅肌いまや皸の日々            り

   氷下魚釣る糸を滑りし月の影         河

    胸張り少年大志抱けと           ん

   うたひつつTOKIOが走るCMの      だ

    制作室をよぎる星蝕            令

   代々を花読みとして床にあり         り

    ここで別れる楠若葉道           河

ナオ 振り向けば春の波間に人魚の尾        ん

    姉はいつでも妹思ひ            だ


 令さん、お願いします。




 

ゆふぐれ  投稿者:らくだ  投稿日:2012年 6月10日(日)03時15分11秒

     ゆふぐれの舌の薄さや著莪の花        令

    生まれつつあるはつなつの闇      ゆかり

   元栓は閉めたはずだが気になつて      銀河

    鳩吹く人の仰ぐなかぞら       まにょん

   一陣の風に水面の月ゆれて        らくだ

    拍子木の音たかき地歌舞伎         令

ウ  酒癖の悪き郎党ばかりなり          り

    一目惚れしたその腕つぷし         河

   序の口に乗れば染まつてゆくからだ      ん

    藍の褪めたる衣まとへば          だ

   雑巾を固くしぼつて作務開始         令

    餅肌いまや皸の日々            り

   氷下魚釣る糸を滑りし月の影         河

    胸張り少年大志抱けと           ん

   うたひつつTOKIOが走るCMの      だ

    制作室をよぎる星蝕            令

   代々を花読みとして床にあり         り

    ここで別れる楠若葉道           河

ナオ 振り向けば春の波間に人魚の尾        ん

    姉はいつでも妹思ひ            だ


お捌きください。  

ゆふぐれ  投稿者:ゆかり  投稿日:2012年 6月 9日(土)14時35分50秒

   まにょんさん、どうも。後者を頂きます。


   ゆふぐれの舌の薄さや著莪の花        令

    生まれつつあるはつなつの闇      ゆかり

   元栓は閉めたはずだが気になつて      銀河

    鳩吹く人の仰ぐなかぞら       まにょん

   一陣の風に水面の月ゆれて        らくだ

    拍子木の音たかき地歌舞伎         令

ウ  酒癖の悪き郎党ばかりなり          り

    一目惚れしたその腕つぷし         河

   序の口に乗れば染まつてゆくからだ      ん

    藍の褪めたる衣まとへば          だ

   雑巾を固くしぼつて作務開始         令

    餅肌いまや皸の日々            り

   氷下魚釣る糸を滑りし月の影         河

    胸張り少年大志抱けと           ん

   うたひつつTOKIOが走るCMの      だ

    制作室をよぎる星蝕            令

   代々を花読みとして床にあり         り

    ここで別れる楠若葉道           河

ナオ  振り向けば春の波間に人魚の尾       ん


 らくださん、春を離れて下さい。


 

ゆふぐれ  投稿者:まにょん  投稿日:2012年 6月 9日(土)14時26分18秒

     ゆふぐれの舌の薄さや著莪の花        令

    生まれつつあるはつなつの闇      ゆかり

   元栓は閉めたはずだが気になつて      銀河

    鳩吹く人の仰ぐなかぞら       まにょん

   一陣の風に水面の月ゆれて        らくだ

    拍子木の音たかき地歌舞伎         令

ウ  酒癖の悪き郎党ばかりなり          り

    一目惚れしたその腕つぷし         河

   序の口に乗れば染まつてゆくからだ      ん

    藍の褪めたる衣まとへば          だ

   雑巾を固くしぼつて作務開始         令

    餅肌いまや皸の日々            り

   氷下魚釣る糸を滑りし月の影         河

    胸張り少年大志抱けと           ん

   うたひつつTOKIOが走るCMの      だ

    制作室をよぎる星蝕            令

   代々を花読みとして床にあり         り

    ここで別れる楠若葉道           河


 靴紐を結びなほさん啄木忌    ん


もしくは


 振り向けば春の波間に人魚の尾


お捌きください。  

十一人いる  投稿者:ゆかり  投稿日:2012年 6月 9日(土)08時55分32秒

   名無しさん、はじめまして。

せっかくですが、登場人物が多すぎてよく分かりません。


a彼女

b琴美

c私

d私の父

e同じ看護婦

f母親

g姉

h妹

j大人

jあの女

kあなた


a=b=c=h、e=j、d=kのような気もしますが、難しすぎて分かりませんでした。  

(無題)  投稿者:名無しさん  投稿日:2012年 6月 9日(土)02時38分2秒

  彼女は琴美私の父は同じ看護婦と不倫関係になる。


母親はノイローゼになった。大声で怒る。姉は、妹には手をだし、怒り狂う。琴美は荒れた荒れまくった誰も信じない。


大人なんて嫌いだ。

誰が信じるものか


母親は、宗教にはまり料理はしなくなった。できない。あの女が憎い。


傷いた。?忘れないあなたが今までしていた数々謝っても許さない  

見送りに。。  投稿者:銀河  投稿日:2012年 6月 9日(土)01時09分55秒

  出ましたか?飛び出した感じがユーモラスで艸読んでいただくと救われます。


綺麗な風景のあとあじと叙情はたっぷりでしたが、あの不安定な読後感は、翻訳のせいだったんですか?気がつかなかった。  

霧笛  投稿者:ゆかり  投稿日:2012年 6月 8日(金)23時48分51秒

   まにょんさん、読みました。典型的なブラッドベリ節ですね。じつに味わいがありました。  

ゆふぐれ  投稿者:ゆかり  投稿日:2012年 6月 8日(金)23時47分47秒

   銀河さん、ども。


   ゆふぐれの舌の薄さや著莪の花        令

    生まれつつあるはつなつの闇      ゆかり

   元栓は閉めたはずだが気になつて      銀河

    鳩吹く人の仰ぐなかぞら       まにょん

   一陣の風に水面の月ゆれて        らくだ

    拍子木の音たかき地歌舞伎         令

ウ  酒癖の悪き郎党ばかりなり          り

    一目惚れしたその腕つぷし         河

   序の口に乗れば染まつてゆくからだ      ん

    藍の褪めたる衣まとへば          だ

   雑巾を固くしぼつて作務開始         令

    餅肌いまや皸の日々            り

   氷下魚釣る糸を滑りし月の影         河

    胸張り少年大志抱けと           ん

   うたひつつTOKIOが走るCMの      だ

    制作室をよぎる星蝕            令

   代々を花読みとして床にあり         り

    ここで別れる楠若葉道           河


 これはですね、家人が見送りに出たのです。まにょんさん、春の句を続けて下さい。





 

床の間から・・  投稿者:銀河  投稿日:2012年 6月 8日(金)23時07分7秒

  いきなり戸外へ出るのは切れすぎかしら。ちょっと心配になりました。  

ゆふぐれ  投稿者:銀河  投稿日:2012年 6月 8日(金)21時33分6秒

  ここで別れる楠若葉道  銀河  

ゆふぐれ  投稿者:ゆかり  投稿日:2012年 6月 8日(金)08時10分14秒

     ゆふぐれの舌の薄さや著莪の花        令

    生まれつつあるはつなつの闇      ゆかり

   元栓は閉めたはずだが気になつて      銀河

    鳩吹く人の仰ぐなかぞら       まにょん

   一陣の風に水面の月ゆれて        らくだ

    拍子木の音たかき地歌舞伎         令

ウ  酒癖の悪き郎党ばかりなり          り

    一目惚れしたその腕つぷし         河

   序の口に乗れば染まつてゆくからだ      ん

    藍の褪めたる衣まとへば          だ

   雑巾を固くしぼつて作務開始         令

    餅肌いまや皸の日々            り

   氷下魚釣る糸を滑りし月の影         河

    胸張り少年大志抱けと           ん

   うたひつつTOKIOが走るCMの      だ

    制作室をよぎる星蝕            令

   代々を花読みとして床にあり         り


 銀河さん、春でお願いします。  

ブラッドベリの漫画は  投稿者:令  投稿日:2012年 6月 8日(金)08時02分59秒

  萩尾望都だったみたい。

大島弓子ではなかったのか。同じ時に読んでごっちゃになってます。  

ブラッドベリ  投稿者:ゆかり  投稿日:2012年 6月 8日(金)07時47分59秒

  「10月はたそがれの国」は、訳が日本語としてぜんぜんこなれてなかったような、おぼろげな記憶が…。「華氏451」は、映画をテレビで観た記憶が。原作は未読です。  

ブラッドベリ  投稿者:銀河  投稿日:2012年 6月 7日(木)23時37分57秒

  私のおすすめは、「10月はたそがれの国」・・。みんな読んでいるんですね、「華氏451」も原作は彼だったんですね。  

ブラッドベリ  投稿者:ゆかり  投稿日:2012年 6月 7日(木)23時28分31秒

   『ウは宇宙船のウ』、持っているので「霧笛」、読み返して見ます。

私のお薦めは「ニコラス・ニックルビーの友はわが友」。  

ゆふぐれ  投稿者:ゆかり  投稿日:2012年 6月 7日(木)23時26分50秒

   令さん、どうも。


   ゆふぐれの舌の薄さや著莪の花        令

    生まれつつあるはつなつの闇      ゆかり

   元栓は閉めたはずだが気になつて      銀河

    鳩吹く人の仰ぐなかぞら       まにょん

   一陣の風に水面の月ゆれて        らくだ

    拍子木の音たかき地歌舞伎         令

ウ  酒癖の悪き郎党ばかりなり          り

    一目惚れしたその腕つぷし         河

   序の口に乗れば染まつてゆくからだ      ん

    藍の褪めたる衣まとへば          だ

   雑巾を固くしぼつて作務開始         令

    餅肌いまや皸の日々            り

   氷下魚釣る糸を滑りし月の影         河

    胸張り少年大志抱けと           ん

   うたひつつTOKIOが走るCMの      だ

制作室をよぎる星蝕            令


 次は私です。ひゃあ、花の座ではないですか。しばしお待ち下さい。



 

ブラッドベリ  投稿者:まにょん  投稿日:2012年 6月 7日(木)19時59分21秒

  短編「霧笛」がとてもいいですよ。『ウは宇宙船のウ』にたしか収録されているはず。

 

ゆふぐれ  投稿者:令  投稿日:2012年 6月 7日(木)14時30分11秒 編集済

   制作室をよぎる星蝕     令


月に近いかなあ?だめだったら変えます。


ブラッドベリ、ってまだ生きてる方だったのですね。

大島弓子の漫画になってて知り、それから原作を読みました。

『火星年代記』は読んでないなあ。  

ブラッドベリ  投稿者:ゆかり  投稿日:2012年 6月 7日(木)08時17分35秒

  亡くなったんですね。『火星年代記』、好きでした。  

ゆふぐれ  投稿者:ゆかり  投稿日:2012年 6月 7日(木)07時17分56秒

   らくださん、どうも。ああ、またしてもぜんぜん知らないジャンル。


   ゆふぐれの舌の薄さや著莪の花        令

    生まれつつあるはつなつの闇      ゆかり

   元栓は閉めたはずだが気になつて      銀河

    鳩吹く人の仰ぐなかぞら       まにょん

   一陣の風に水面の月ゆれて        らくだ

    拍子木の音たかき地歌舞伎         令

ウ  酒癖の悪き郎党ばかりなり          り

    一目惚れしたその腕つぷし         河

   序の口に乗れば染まつてゆくからだ      ん

    藍の褪めたる衣まとへば          だ

   雑巾を固くしぼつて作務開始         令

    餅肌いまや皸の日々            り

   氷下魚釣る糸を滑りし月の影         河

    胸張り少年大志抱けと           ん

   うたひつつTOKIOが走るCMの      だ


 令さん、この「の」を解決して下さい。  


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