2022年7月7日木曜日

掲示板過去ログ57

 2012年 7月 3日(火)11時27分17秒から2012年 7月16日(月)12時32分57秒まで。




いえ、そのまま行きましょう  投稿者:ゆかり  投稿日:2012年 7月16日(月)12時32分57秒

   「玉手箱」は固有名詞で「手」が機能している訳ではないし、「手を振れば」から「とれぬ飯粒」という付け筋なので、「波立ちて」にすると後ろが全取っ替えになってしまいます。なので、そのまま行きます。大丈夫。  

 

 

ひゃっ  投稿者:令  投稿日:2012年 7月16日(月)11時27分36秒

  済みません。

なんて、自分のことは気がつかないのでしょう。

ナウ 手を振れば

って、前句と「手」の字が重なってますよね。

穂芒の揺れから、手を振るしか思いつかなかったのですが、変えさせて下さい。

ゆかり様、「波立ちて」ではだめでしょうか?

波立ちてをちかた人は霧のなか   令  

ゆふぐれ  投稿者:ゆかり  投稿日:2012年 7月16日(月)00時59分2秒

   銀河さん、どうも。


   ゆふぐれの舌の薄さや著莪の花        令

    生まれつつあるはつなつの闇      ゆかり

   元栓は閉めたはずだが気になつて      銀河

    鳩吹く人の仰ぐなかぞら       まにょん

   一陣の風に水面の月ゆれて        らくだ

    拍子木の音たかき地歌舞伎         令

ウ  酒癖の悪き郎党ばかりなり          り

    一目惚れしたその腕つぷし         河

   序の口に乗れば染まつてゆくからだ      ん

    藍の褪めたる衣まとへば          だ

   雑巾を固くしぼつて作務開始         令

    餅肌いまや皸の日々            り

   氷下魚釣る糸を滑りし月の影         河

    胸張り少年大志抱けと           ん

   うたひつつTOKIOが走るCMの      だ

    制作室をよぎる星蝕            令

   代々を花読みとして床にあり         り

    ここで別れる楠若葉道           河

ナオ 振り向けば春の波間に人魚の尾        ん

    姉はいつでも妹思ひ            だ

   坪庭にすずめのための米を撒き        令

    いづかたよりか金鵄鳳凰          り

   美しき髯をしごきて憂ひをり         河

    泥鰌鍋にて手打といたす          ん

   妖刀に呪符貼りつけて封印し         だ

    仮面舞踏にはじまりし恋          令

   茉奈のふりしてゐる佳奈にからかはれ     り

    奄美諸島へ梅雨の前線           河

   月光に濡るるサバニの櫂を漕ぐ        ん

    玉手箱から出づる穂芒           だ

ナウ 手を振ればをちかた人は霧のなか       令

    薬指からとれぬ飯粒            り

   封筒を貼る工賃の如何ばかり         河


 まにょんさん、春の句でプロレタリア文学から脱却して下さい(^^);  

ゆふぐれ  投稿者:銀河  投稿日:2012年 7月15日(日)23時14分2秒

  封筒を貼る工賃の如何ばかり  銀河  

皆様へ。  投稿者:銀河  投稿日:2012年 7月15日(日)22時57分46秒

  いろいろ助け舟をありがとう。ぐみさん、どうもお優しいコメントに感謝感涙にむせんでおりまする。ネットを通じてよき若き友をえている喜びがあります。

ゆかりさんの言れるとおりではなくとも遠からず。もともと不器用なうえに思いついたことを書いておかねば言葉が逃げてしまいそうで、そして後でいろいろ直そうとして、見落としたり時間も迫り、というところで手元がついて行きません。私、文章を書くときには、たいてい深夜パソコンの前で、半ば鳥目状態で、このような独り漫才パフィーマンスをくりかえしています。


言っても言われてもこのようなことで事態は解決しないのですが、こないだ、ゆかりさんのご指摘から、「あ、そうか、そうだったのか。」とわかったことがありました。

大変ありがたかったです。苦手のパソコンをはじめたのも、老化を進行させないツールの活用を目指したのですが、その自己教育力が残っているうちによくないくせをマスターしておいたほうがいいように思いました


まあ、そういうことで、ちょっと変だと思ったら、遠慮なくおっしゃってください。  

ゆふぐれ  投稿者:ゆかり  投稿日:2012年 7月15日(日)12時46分0秒

   すみません、放置していました。


   ゆふぐれの舌の薄さや著莪の花        令

    生まれつつあるはつなつの闇      ゆかり

   元栓は閉めたはずだが気になつて      銀河

    鳩吹く人の仰ぐなかぞら       まにょん

   一陣の風に水面の月ゆれて        らくだ

    拍子木の音たかき地歌舞伎         令

ウ  酒癖の悪き郎党ばかりなり          り

    一目惚れしたその腕つぷし         河

   序の口に乗れば染まつてゆくからだ      ん

    藍の褪めたる衣まとへば          だ

   雑巾を固くしぼつて作務開始         令

    餅肌いまや皸の日々            り

   氷下魚釣る糸を滑りし月の影         河

    胸張り少年大志抱けと           ん

   うたひつつTOKIOが走るCMの      だ

    制作室をよぎる星蝕            令

   代々を花読みとして床にあり         り

    ここで別れる楠若葉道           河

ナオ 振り向けば春の波間に人魚の尾        ん

    姉はいつでも妹思ひ            だ

   坪庭にすずめのための米を撒き        令

    いづかたよりか金鵄鳳凰          り

   美しき髯をしごきて憂ひをり         河

    泥鰌鍋にて手打といたす          ん

   妖刀に呪符貼りつけて封印し         だ

    仮面舞踏にはじまりし恋          令

   茉奈のふりしてゐる佳奈にからかはれ     り

    奄美諸島へ梅雨の前線           河

   月光に濡るるサバニの櫂を漕ぐ        ん

    玉手箱から出づる穂芒           だ

ナウ 手を振ればをちかた人は霧のなか       令

    薬指からとれぬ飯粒            り


 銀河さん、雑でお願いします。  

ぐみさん、お久しぶりです。  投稿者:ゆかり  投稿日:2012年 7月15日(日)12時28分36秒

   銀河さんの場合、なにかものを書こうとすると脱水機のように脳が高速回転を始め、パソコンの変換ミスのみならず、肉筆もおそろしく悪筆で慣れないと判読すらままなりません。つまり記述という行為が思考のすさまじい集中力の外側にあるのです。

 結果の放置については、おっしゃるとおり、ある種の融和政策が感じられなくもないのですが、昨今はそれよりも変換ミスの重篤さを嘆いておられるようでしたので、あのように助言させて頂きました。  

外野から  投稿者:ぐみ  投稿日:2012年 7月15日(日)03時46分30秒 編集済

  立派な見解、深い知識が、理路整然と展開されていたら、そこの板が余りにも堅苦し

くなるということを危惧し、融和政策として、故意に誤字変換を設定、放置される

という意識的措置によるものではないかと、かねがね拝察して居りました。


そういう高度な気遣いにあらためて敬意を表し、とても私にはなし得ないことと

痛感しきりでした。・・・という見方もアリってのはどんなもんでしょか???  

感じ變悍 → 漢字変換  投稿者:銀河  投稿日:2012年 7月14日(土)11時15分3秒

  焦らないで、決定を押す前に、最初にきちんと直す、ということですね。

字を覚えるようにワードの学習をし直します。いよいよぼけがきたのか、と思って自信を無くしかけていたところです。どうも。  

草野心平  投稿者:ゆかり  投稿日:2012年 7月14日(土)02時02分0秒

   余談ながら、私の出身小学校と出身中学校の校歌はそれぞれ草野心平作詞です。なにかゆかりがあったのかは分かりません。just one of those thingsというだけかも知れません。  

漢字変換  投稿者:ゆかり  投稿日:2012年 7月14日(土)01時52分6秒

   しょうがないな~、銀河さんは…(大山のぶ代のイントネーションで読んで下さい。)


 パソコンの漢字変換は、正しく使えば学習機能により、自分の文章の癖を学習してどんどん使いやすくなるものです。

 銀河さんの場合、変換候補をまったく見ないでとにかく確定し後から直す、というやり方でこれまで来てしまったツケによって、まったく自分の文章の癖に関係ない嘘の候補を膨大に学習して大変なことになっているのです。なので、以下のふたつを実行して下さい。


(その1)辞書ユーティリティを開き、ほんとうならこんな変換はしないという学習結果をかたっぱしから削除する。


(その2)確定する前に、きちんと候補選択や文節切り直しを行う習慣をつける。


 ついでにいうと、ここの掲示板の下の方に「自分の投稿の編集」というのがあり、誤字脱字の類は、わざわざ別の記事として言い訳を書かなくても、編集できます。よろしくどうぞ_(._.)_  

艸超悍・・・  投稿者:銀河  投稿日:2012年 7月12日(木)23時54分32秒

  そそっかいのはもともとですが、パソコンにヘンな癖がついてしまって、

文字がまず、艸。悍、變、というように出てくるのと、なぜだか「變悍」にてまどります。

壮重感 圧巻 もかたなし。


どうも_(._.)_ 。


一度これで修正なしに、詩を書いてみようか、とヤケで思ったり。しております。

 

雑感  投稿者:銀河  投稿日:2012年 7月12日(木)23時36分20秒 編集済

  (575)(757)…と続ける行分けは、結局のところ(57)(57)(57)のバリエーションに過ぎないのかなあとおおらかに解釈し」yukeri


これは、同感です。でも、荘重感を出したい時に7、5で改行しないでもういちど7で抑える、理由も分かりました。75.75、75でそれが出せぬわけでもないでしょうが、好みの問題、というところでしょうね、


きょう、たまたま、精華町の国立国会図書館の関西館に展示中の、所蔵本を見てきました。


外山正一、の新体詩 「グレー氏の・・」、というのがあったでしょう?

島崎藤村、など、75、75、75のリフレーンが多いようです。

萩原朔太郎、中原中也、高村光太郎、宮沢賢治、草野心平、と順々に読んてゆくと、自由詩になってゆく、その必然性もわかるような気がします。七五調に合わせようとして、情緒の動きに無理がゆくようです。

俳句定型が多数派として575、に収まるわけも・・。


草野心平の蛙語のオノマトペアは圧巻でした。一ページ見開き。全部、面白かった、口語のリズムの全面活用でした。

 

ほとんど・・・なにも・・  投稿者:七  投稿日:2012年 7月12日(木)23時08分5秒

  考えず、日本語で韻を踏むなど難しすぎるし、詩も俳句も歌仙もよくわからないモノが独吟やソネットなど無茶と思いつつ、古いのやら新しいのやら、そのとき読んでいたモノやら、TVのニュ-スや映画など、適当に入れ込んで、18行、14行と苦行みたいに(笑


常日頃から、特に言いたいこともないのですから、独吟、ソネットもどき、主題が見つからないままに、日常の混沌を編み物をするようにずるずると定型に編み込んだ、と言う感じかな。


他者のイメ-ジを借りることが出来ない独吟はとても困難だが、詩のような定型が自然に出来てしまった。それなりに楽しかったです。ロキソニン飲んだりしてましたが・・・苦行もまた楽し・・です。(^^;)


「せつなひ」って、紅犯花・・じゃなくて「赤い花」・・のほうの「おら、せつねえ」から来てるのね。


 

http://soup-stock7.blogspot.com/


 

韻とか音数律とか  投稿者:ゆかり  投稿日:2012年 7月12日(木)22時06分16秒

   私は定型の同じ位置に仕込んでも面白くなかろうと、「陸といふ家具」「海といふ意味」というふうにuとかiとか仕込んでみました。


(575)(757)…と続ける行分けは、結局のところ(57)(57)(57)のバリエーションに過ぎないのかなあとおおらかに解釈し、2音ないし3音のユニットによる句またがり的なゆさぶりも仕込んでみたのですが、いかなる効果を及ぼしたものだか…。  

振り返ってみると  投稿者:野口裕  投稿日:2012年 7月12日(木)19時23分44秒

   作る前から、韻は響かないと想定したのでまるっきり無視していました。

これは読む場合も同じでした。


問題は、(575)(757)…と続ける行分けがどうしてもなじまないこと。

最終的に75、75…の繰り返しにしてしまいました。

頭の一行が5音だけなのは、(575)(757)…で作ろうとした名残です。

課題の要請したルールからは外れていますが、

頭の二三行ができてしまうと放っておけない。

そんな気分が優先しました。


歌仙と定型詩を比べると、私の場合、定型詩の方が読みやすい。

歌仙特有の場面転換がすんなり頭の中に入ってこない。

そんなことを思いながら、読ませてもらいました。

 

半歌仙2巻  投稿者:らくだ  投稿日:2012年 7月12日(木)18時21分30秒

  今回は、お題を見た時から選択の余地なし^^;

ソネットなんて無理!しかも「文語」というのがそもそもネックです^^;


先に紫陽花をつくりましたが、やり始めたら面白くなって、できた後もう一ついけるかも?と欲張りました。(なので、女王がダブっている^^;)

そういう意味では、出来はともかくとして、楽しかったです。


とはいえ、一番泣いたのは、とにもかくにも発句!発句ができん!!

昔の在庫からでも、と思ってひっくり返してみても、切れ字のある句がなさすぎる^^;

もちろん、それだけじゃダメなんで、切れ字入りでもとても発句になるような句はなく……(泣)

脇おこし有りにしてもらえばよかった。


ワタクシ、やっぱり俳句の才能ないのね~、と今回改めて思い知りました。とほほ。  

2と3は同じ作者でしたか  投稿者:令  投稿日:2012年 7月12日(木)00時32分35秒

  詩と半歌仙とどちらも作られた七さん、

半歌仙を二巻も独吟された、らくださん、凄いです。

「せつなひです」はつげ義春でしたか。

私も半歌仙も試みましたが、表6句ぐらいでダウンしてしまいました。


ソネットは、やはりその形式の持つ韻と言うことを意識して

試みられているのが素晴らしいですね。


最後の音だけではリズムができないと思うのは全くの私見で、

(それは、日本語の音は全て母音で終ってるので、それも5種類しかないから、

随所に韻で使うべき音が来るので、外国語の音節とはそこが異なっているので

韻を踏む事自体に、フランス語での様な重要性はないなあと思っているという

私見なので)その形式の持つかたちを試みられて、ちゃんと音の合う言葉を

持って来られた技に感心しています。


私のソネットは、らくださんのおっしゃってる第2連の「背」は

「そびら」と読んで、1連を七-五、2連を五-七としてみました。


いつも一行分しか考えないので、今回の課題は非情に苦しみました。  

苦界 → 公界  投稿者:銀河  投稿日:2012年 7月11日(水)22時23分56秒

  また 失礼。書き違えです。

綱野善彦著の書名は、『無縁 公界 楽』。


河原者、能楽師、傾城。など、中世のみ身分制からはずれた人たちは 「公界者」といわれて、通常の支配秩序の外におかれました。


遊女が苦界に沈み、などと言われたもは、「公界」からの転じだそうです。  

書きたい内容と詩の形式  投稿者:銀河  投稿日:2012年 7月11日(水)17時50分52秒

  豪奢なのに無人という光景を何かの形式で書きたかったのですが、新体詩は慣れてきたらロマン的な叙事詩に合うのかもしれませんね。言葉がうるさすぎる、というご意見はごもっとも。


また。苑をさんじゃないけれど、詩に関しては、知らないことで多いです。


難破船が、客船か、海賊船か、マルコポーロばりの商人の船か、長い時間のうちには具体的な事実が消えて、みな神話とか伝承と云う思考の定型ができて、ゆくんだとおもうのです。そういうことが伝わればいい。


かつ。虹が立つところには市ができた、と、綱野善彦の日本史学にありますね。「無縁苦界、楽」ああいうの、いいと思いません。おりから、偽ブランド=コピーも、積み込まれてきて。。(^^♪


インターネット市場も、巨大な廃船かも。  

微塵子  投稿者:苑を  投稿日:2012年 7月11日(水)06時15分52秒 編集済

  自作については、今思えば…に溢れてます(笑)「遺伝子約三万」は「遺伝子三万余」にすればよかったとか。

坂の途中→(子規・漱石)→ロンドン 更に ロンドン橋→(マザー・グース)→ハンプティ・ダンプティ には打越感があるのではとか。

坂で気づく、浅草の卵だからよしと勝手に決めましたが。(単に考える時間がなかったとも言う)


種明かし的には、発句は直前にくらげ話題だったので、挨拶としてくらげで行こうと。

皆様がよーわからんが、と言われた「せつなひです」はつげ義春作品から。よって貸本屋へ。


なによりの収穫は、俳句以外の分野にこれほどまでに無知であったかと、こころに沁みたこと(笑)

へらへら作ってきた俳句ですが、あれこれ考えねばの課題が湧いてくること。(いまのとこ湧くだけなんですが --;)  

紫陽花十二号  投稿者:ゆかり  投稿日:2012年 7月10日(火)20時36分26秒

   6月にぽぽにゃんが乗ったのが10:12発「あずさ12号」だと聞いて、「紫陽花十二号」となったのでした。今思えば「十二號」にすればよかった。  

詩レ入(5)作者発表  投稿者:ゆかり  投稿日:2012年 7月10日(火)20時16分12秒

  ●作品1--------------------------------------銀河


新体詩風十四行詩

   廃船のにぎはひ


砂浜に打ち上げられし客船の

ここにかしこに錆生うも縦(ほしきまま)なる

陽に灼けて雨風はげし甲板を

赤銅(あかがね)腐り朱(あけ)濁り臭ひ漲る


ときめかぬわが蓄財(たからもの)積み入れて

印鑑証明戸籍簿も瓦礫あまねし

数多にもうち捨てゐたる国民(くにたみ)の糧

ただに魂魄故郷なき明日を彷徨ひ


鞆舳死肉のかけらなほ播かむ

いましも熟るるもももすももも果汁妊み

鈴なりの飾燈(シャンデリア)朱に恍(て)る

夜の虹映え廃船は宝玉に満ち

空うみの縞目をくぐり海そこの

商人(あきうど)の財駘蕩と市(いち)なすも



●作品2--------------------------------------らくだ


半歌仙「ダービー」


ダービーや女王即位六十年

 キャメロットなる夏日の祝い

上座とは知らずにすわる円卓に

 北京広東飛び交うことば

笛の音と舞はあうんの月の宴

 仁王門から霧忍び入る

くのいちは竜胆の名にほど遠く

 惚れてしまえばあばたもえくぼ

快感を重ねて得たる美肌ゆえ

 曲がり角など知らずに過ぎぬ

新宿に出かける度にまた迷子

 厚化粧からひげ生えており

寒月の百鬼夜行にばったりと

 枯野で母を呼ぶ陰陽師

天文の不可思議としてうるう秒

 マヤの遺跡に春告げる窓

石舞台浮き上がらせて花篝

 古今東西霞たなびく



●作品3--------------------------------------らくだ


半歌仙「紫陽花」


紫陽花や水琴窟の闇に水

 でんでん虫は角を傾け

認証はひとさしゆびの指紋にて

 つまんで押してひねるガス栓

タンカーは月の光に照らされて

 海賊なれど秋思しており

女王より爵位賜る露の朝

 肖像画より口が大きい

ほら吹きが言葉をなくす一目惚れ

 ハートマークを添える恋文

赤ペンで添削されし誤字脱字

 真ん中抜いて捨てる東スポ

寒月へ消えたるあれは円盤か

 眠る山から送る信号

いつまでも電車動かぬ踏切に

 始発待つため入る吉野家

丼に酒を注ぎあう花筵

 大の字で見る空うららけし



●作品4--------------------------------------令


擬いてゐたり


雨のしたたる水面には

あまた水紋生れ出でぬ

ちひさき円のひろがりて

いづこへ果つるつぎつぎに


遠ざかる人の背は

夏の野の白きひと粒

返すこと忘れられしに

窓の辺の図書館の本


おほいなるユーフラテスの流れより

シャーマンの手に結びたる言霊かとも

神殿域に放つ天牛


ほそき枝の先のふるへと喚びかはし

エンリルの森の水場に降り立つ鳥に

擬いてゐたりつばさなけれど



●作品5--------------------------------------裕


降りやまぬ

雨の狭間をすり抜けて

去りゆく伊賀の下忍には

合歓の葉擦れの音もなし

付きくる敵の姿とて

頬に一本かかりたる

むかしの人の黒髪に

時に血糊を垂らすのみ

人恋うよりはあわれみを

乞えよと鈍く笑いたる

眉間めがけた一刃は

流血の多寡知らぬまま

さまよう朝に転がれる

骸の主に届くや否や



●作品6--------------------------------------ゆかり


 紫陽花十二号


十二分発の紫陽花十二号

一路神州鞄には銀の横笛

眼中のもの皆みどりゆつくりと

回転しをる大地平畝といふ畝


香草の名を連ねたる歌ありて

妙なり夢の如きなり三つ編みの頃

級長の姉のふくらみ地上には

母の紫陽花地上には祖母の紫陽花


等速度運動の雨やはらかに

力士を濡らす奉納の大樹の下に

発光し魚の時間を律動し

陸といふ家具くつがへす海といふ意味


まづ構へ嚇と見開きややあつて

嘘つくやうに笛を吹くなり



●作品7--------------------------------------七


*独吟半歌仙「それなりに」


それなりに夏立っている部屋の隅

  二度寝の夢の合い鍵作る

   今日もまたどこかでだれかが死を急ぐ

    公園出口6のB塩を盛る

      掌の痛点舐める蝸牛

        呼び鈴が鳴る耳殻の奥


    本棚にいつも寝ている月ひとつ

        食前酒にはアップルシ-ドル

       別れぎわう肯き合って蛍狩

        アンヴィエントな音の洪水

  行列の最後尾また羽化をする

    仰げば尊し空は真っ青


     洗っても洗っても血は濃いル-ジュ

      もたれているのはいつも噴水

     ずっともっとずっと遠くまで行きたいな

      持っているのは羽根ではなく棘

     壁に貼る蜷川実花の花のフォト

    空を捲れば宙降りてくる



●作品8--------------------------------------七


*文語定型ソネット「ロキソ飲み」


ロキソ飲みけふの一日(ひとひ)は梅雨の晴

  餡バタパンに珈琲の朝

  これといふ予定もあらずファムファタル

  飼い慣らされし心根浮遊(うかれ)


月光は喰らうものとぞ犬のこゑ

  枯野を走る在りし日の夢

遠くまで来たやうな気がしてデジャブ

あなうらを刺す未生の棘群


家ぢゅうを圧す紙おむつ雪積もる

  濃き新茶汲むひととき平

  ほぎごともいみごともよく燃えるもの


  捨てては拾ひ拾うては捨て

  ただよえる記憶を抓み花を挿す

  過ぎゆく時を終う抽斗



●作品9--------------------------------------苑を


【独吟半歌仙・水母日和】

いのちとは水母日和の波間かな

 さはさはと鳴る雛罌粟の群

坂道の途中でふいに気がついて

 愚陀佛庵に集ふ人びと

昼月がロンドン橋の上にあり

 マザーグースを唄ふ蟋蟀

浅草のむぎとろ飯に割る卵

 つまを抱かなと三年の過ぎて

平仮名でせつなひですと書きおくる

 釘打ちつけてある貸本屋

団塊は五月蠅ェだけと囁かれ

 微塵子遺伝子約三万

ダーウィンの髭を尖らす寒月光

 ゆきばんばから暮れる公園

半裸なる火噴き男へ銭を投げ

 洞の奥には泉があると

それからの行方も知れぬ花筏

 スカイツリ―に燕飛来す


--------------------------------------

以上です。作者でないと語れない話もありましょうから、引き続きご歓談下さい。

 

寸感  投稿者:苑を  投稿日:2012年 7月10日(火)13時01分53秒

  まず、ソネットに取り組まれた皆様に敬意を表します。

ついに完成を見ず、締切にあわてて歌仙をでっち上げた私としては、もうなにも申し上げることはない(--;)、というわけにもいかないので寸感なりと。

まだ日常生活が取り戻せ切れないため、走り書き御容赦。


■作品1「廃船のにぎはひ」


客船の/縦なる   甲板を/漲る

積み入れて/あまねし  国民(くにたみ)の糧/彷徨ひ


韻を踏むことでの心地よさは確かにあるのですが、日本語の韻の弱さと言うか、少なさは、単調・形式に陥る危険性を孕むと、これは全作品を読んでの印象です。


震災への思いを重ねて読まずにはいられませんが、文語体の制約は現代というより海賊時代を思ってしまい、課題がいかに難題かということですね。イメージは鮮明。課題に拘った努力賞作品ですね。


■作品2「ダービー」


正直、歌仙にふれると知った顔に出会ったみたいにほっとします(^-^)。


女王即位六十年への挨拶ではじまり、古今東西霞たなびく挙句まで「不思議の旅」が続く趣き、楽しいです。あえて言えば、付き離れの距離の長短がもう少しあってもよいかなと。


■作品3「紫陽花」


ナンセンスの匂いがします。独吟は嗜好が出るのを、どう展開に幅を持たせるかが難しいと感じますが、逆にそれが作品の個性にもなる。狙う、のも面白いかも。


大の字で見る空うららけしの挙句で、すべて夢の…という感じもします。この虚無、いいですね。


■作品4「擬いてゐたり」


形の整った作品。エンリルの森が出て来るあたりは環境破壊への現代風刺もあるのかなと。


■作品5「降りやまぬ」


古くは琵琶語り、近くは講談・浪曲の、語り継がれる物語のような。七五の繰り返しのリズム故ですね。哀調のある曲が似合いそう。


■作品6「紫陽花十二号」


紫陽花十二号はあずさ二号のパロかなと。そんな風に思って、追想への旅に出る。どこか醒めている。理が勝った作品と感じました。


■作品7「それなりに」


歌仙の形を借りた詩として読みました。これ、ひとつの方法で面白いかも。近いとか、付いているとかを問題にしないで、詩として、この作品が好きです。


■作品8「ロキソ飲み」


どなたか仰ってましたが、こちら詩のような歌仙。言葉の巧みな句が現代生活者の気分を演出して、面白く拝読。


■作品9「水母日和」


独吟だと連想の幅が広がり難い、というのがこの作品にも。むしろ徹底的にテーマを設けた方が面白いかもしれません。

 

勝手読み  投稿者:らくだ  投稿日:2012年 7月 9日(月)19時13分21秒 編集済

  はぁぁ、難産の後、鑑賞がさらにムズカシイ……(T_T)

もう、勝手読みです。改行と余白の話はどっか飛んじゃってる……


【1】

打ち上げられた難破船が死ぬ間際に見た走馬灯、といった趣。

海底だったら人の幻もいるだろうに、上に出ちゃったら救われない、船の亡骸。

という大雑把な印象だけで、第二連、三連は、イマイチよく分からなかった。

言葉がムズカシすぎる^^;


【2】・【3】

言葉からの連想の連続で奥行きがない。

自他場の工夫が足りない。


【4】

幻想的。言葉の流れがスムーズで読みやすい。

七五から五七に変わる二連の「背」はせいなとかそびらとか読むのだと思うが、最初単純に「せ」と一音で読んで、五五の音にドキッとした。全部が五七でなくても、転調を印象づけるのに効果的と思う。

結句の「擬いてゐたりつばさなけれど」がとっても切ない。水輪から幻想世界に入っていってもう帰ってこないような、そんな感じもした。


【5】

渋い!

掟を破って追われている忍びの最期、と勝手に物語を妄想。

「流血の多寡知らぬまま/さまよう朝に転がれる/骸の主」は掟破りの惚れた相手ということで。

敵討ち、成るや成らずや。


【6】

「地上には母の紫陽花地上には祖母の紫陽花」のところ、せっかくのリフレインだから改行で強調したほうが、あまり詩に詳しくない読者としては読みやすい。

  級長の姉のふくらみ

  地上には母の紫陽花

  地上には祖母の紫陽花

ソネットの形式で構成されているから、もちろん野暮な話なんですが^^;

あ、

  級長の姉のふくらみ

  地上には母の紫陽花 地上には祖母の紫陽花

これじゃ、邪道なのかな?(あ、野暮の上塗り^^;

「陸といふ家具くつがへす海といふ意味」から、津波を連想してしまい、「まづ構へ嚇と見開きややあつて/嘘つくやうに笛を吹くなり」という四連もあって、全体が鎮魂歌とも読めると思った。

紫陽花十二号というのがとてもとぼけていて、深刻度を薄めている感じ。


【7】

歌仙の形式の詩と思う。乙女な詩。

歌仙の、改行と同時にポーンと飛ばすことができるのを利用して、どんどん展開していくところがすてき。

青春時代の懺悔(何に?いや、分からないんですけど^^;)という感じを受けた。


【8】

ソネット形式の歌仙とも読める。

最初、三連と四連は意味合いとしてつながるのでは?と思い、ソネット形式に無理があるのではと思ったが、「捨てては拾ひ拾うては捨て」はやっぱり「ただよえる記憶を抓み」に掛かっているんだと読みなおした。

それでも、

 ただよえる記憶を抓み花を挿す/過ぎゆく時を終う抽斗

この部分、独立した短歌としても十分イケると思う。


【9】

歌仙のお手本のよう。はぁー、うらやましい。

まず何より発句が素晴らしい。そして、連想の背景が文学的。さらに恋句がうまい。加えて、「団塊は五月蠅ェだけと囁かれ/ 微塵子遺伝子約三万」というぶっ飛び方ができる。トドメに挙句が見事。すばらしい。

くぅー、うらやましい。  

リハビリは裸足で砂浜を  投稿者:七  投稿日:2012年 7月 9日(月)12時46分22秒 編集済

  ジャリジャリぎゅっぎゅっっと砂踏むのは快感~~(^O^)♪ んで・・凄難産だった詩レ入⑤!


◆「廃線のにぎわひ」

死まで形骸化して漂うような、凄まじいまでの幽玄さが感じられるのは文語形式のせいだろうか。鏑木清方に「夢の宮」って言うイギリスはラファエロ前派みたいな絵があるんですが、なんかそれ、思い出してしまいました。それと、やっぱり、蒲原有明かなぁ。


◆半歌仙「ダ-ビ-」

バッキンガム宮殿の敷地あたりに石油が湧いた!とかでニュ-スになったのは何十年前だっただろう。イギリス王室はスキャンダルもビジネスにして儲けているから、日本とは大違いに面白い。ダ-ビ-にお洒落して、キッチュな帽子をかぶって行くのもエエなあ。エゲレスのユ-モアとシニカルさたっぷりで洒落てて、これ、けっこう好み。


◆半歌仙「紫陽花」

「ダ-ビ-」と一瞬ごっちゃになってしまった。「都市生活者のある日」って副題を付けたくなるような、 醒めた熱情がユ-モアもあるのに淋しい笑いを、こちらは感じます。


◆「擬いてゐたり」と「降りやまぬ」

もしかしたら、同じ作者かな・・・と、思ってしまったのですが・・どちらも破綻がない。文章で幾ばくかの糧を得ているヒトかなと、錯覚したりして(^^;)


雄大なロマンチシズム、漂う虚無感、イギリスのア-サ-ラッカムの絵本を見るようです。


◆「紫陽花十二号」

新しい特急かな・・仏壇にもあるらしい紫陽花12号~20号。誰かの死を悼んでいるのか・・哀しみ蕩々と、しかも、どこか忙しなく。


この題名でふいにネット検索。面白いなあ。噂のasyura2から国枝史郎「神州纐纈城」!などにヒット。あまりこちらは関係ないかも。


◆「それなりに」

なんちゅうかかんちゅうか、あれこれそこいらにものをコラ-ジュしたのか、月が本棚に寝ていたりして、きっと本は黴だらけww。蜷川実花のぎとぎとマルチでキッチュな色彩の花はあんがい好きだけど。エッジの聴かせ方が美味くないのよ。アップルシ-ドル!イナカじゃこの頃見かけない。飲みたいなあ(涎・・)


◆「ロキソ飲み」

あちこち痛いのかな。4433でいちおうソネット形式。文語口語ごっちゃのハイブリッド感覚はおもろいかも(^^;)

アタシんとこエンジン快調故買い換えなどはまだまだずっと先・・・立つもんがトホホのほほほ(泣)


◆「水母日和」

安定感のある半歌仙。なにより、題名が「粋」ですなあ。

雛罌粟、愚陀佛庵、ロンドン橋にかかる月、五月蝿、ダ-ウィン。作者と古の文学者との距離が描かれているように思えます。


創作も、感想も凄難産でしたが面白かった。

旅、ふらっと行きたいですよねえ。ま、妄想旅行でしばしの遊び。それもできなくなったら、もう終わり。

http://soup-stock7.blogspot.com/


 

ソーカツ  投稿者:銀河  投稿日:2012年 7月 9日(月)01時02分55秒 編集済

  ●作品1

・757.575.を繰り返すソネット、和洋織り交ぜた風景に合うような気がする。

・最後二行は切り離したほうがいい。

・4連目、「もももすももも」 は「ももすもも」のほうが、調子もととのうし、いいのではないか。

・脚韻がすべて同じ交互になっているのは、却って単調。

・内容は幻想詩と、難破船の中の豪華さ、無人なる虚しさがなんとなく出ている。


●作品2

・大英帝国とオリンピックへの挨拶として、時宜にかなっている。


・登場人物が多く皆超人。心細げな迷子がフラジャイルな現代人を象徴していていい感じ。世界中をパックで一周ですね。

・くのいちは竜胆の名にほど遠く/惚れてしまえばあばたもえくぼ/ 快感を重ねて得たる美肌ゆえ/ 曲がり角など知らずに過ぎぬ。

このあたり、ハイになりそう!!

・ 古今東西霞たなびく  。まさに。


●作品3

・「紫陽花や」の発句、壺中天からの出発、と「大の字」になった挙句の開放感が対応よろし。

・以下の繋ぎ方、巧みだと思う。

寒月へ消えたるあれは円盤か/眠る山から送る信号/いつまでも電車動かぬ踏切に/



●作品4

・全体に詩形と内容があっていて、破綻がない。

水面。図書館の本。カミキリムシ(天牛).。水場 翼、と平面のイメージが転形してゆく。この辺が巧み。


・本の中にはいってゆくところ、アリス風パターンですが、甘いけれど許せる範囲。効果的。大いに擬くべし。

●作品5

・これは特に押韻ではないのですね、明治時代の57調、75調、として親しみやすい。

・しかも内容は、日本映画専門チャンネル。白土三平。市川雷蔵をおもいだす。いいなあ、これ好き。

●作品6

・この 紫陽花十二号。なぜ12?と問うのは野暮か。起承転結のはっきりした、意図のよくわかる詩だとおもいました。

・「級長の姉のふくらみ地上には/母の紫陽花地上には祖母の紫陽花」 このあたり妖しく。

・「等速度運動の雨やはらかに力士を濡らす奉納の大樹の下に」 このあたり滑稽。

・「発光し魚の時間を律動し陸といふ家具くつがへす海といふ意味」やや深刻。

・「まづ構へ嚇と見開きややあつて嘘つくやうに笛を吹くなり」 相撲ではなかったのだ、

ナンセンスな意味合いを定型でまとめると、詩になる。

●作品7

・ 一見人を食った発句ではじまり。現代の文学センス横溢。

 ・「それなりに夏立っている部屋の隅」立夏が「それなりに」というのは、歳時記の本意に逆らうこんたんだろうか?

・月の出がおったてにかかる。すこし寝坊ですね。

  「 本棚にいつも寝ている月ひとつ」

・どこかでみたような「 もたれているのはいつも噴水」

・めちゃめちゃみたいですが、なんでもありでとてもおもしろい。

  「 壁に貼る蜷川実花の花のフォト/  空を捲れば宙降りてくる」なんて。


●作品8 都会のアンニュイ。とくに文句はつけません。私もこんな日常ですから、


以下の句に共鳴

・月光は喰らうものとぞ犬のこゑこの件、秀逸

・ 家ぢゅうを圧す紙おむつ雪積もる  濃き新茶汲むひととき平  ほぎごともいみごともよく燃えるもの


●作品9

・たいへん、良く出来た半歌仙だと思いました。水母は反原発の強い味方、さすが水の母、地球をまもります。これが発句で、洒落た展開がまた飽きないです。

・漱石がトリックスターになっているところ。

「坂道の途中でふいに気がついて 愚陀佛庵に集ふ人びと昼月がロンドン橋の上にあり」・


・草田男に飛んだか!

 つまを抱かなと三年の過ぎて平仮名でせつなひですと書きおくる


・はとバスではよく見えない、ツバメを持ってきたのがいい。

 スカイツリ―に燕飛来す


めでたい東京めぐり。わたしも東京に行きたい。


そうかつ。

多行詩とくに新しい知識をこなせない詩の創作も感想もしんどかった。  

火噴き男  投稿者:令  投稿日:2012年 7月 8日(日)22時18分55秒

  あっ、違いますね。

作品9の「火噴き男」は、大道芸人で口から火を噴く人ですね。「銭を投げ」ですもんね。

すみません。間違ってました。

冬の句は、

  ダーウィンの髭を尖らす寒月光

   ゆきばんばから暮れる公園

の二句で終りですね。  

詩  投稿者:令  投稿日:2012年 7月 8日(日)22時02分7秒

  詩の方はあまりわかりません。

ソネットというのは4、4、3、3だと思っていたのですが、

イギリス式は4、4、4、2なのですか。


ソネットは脚韻が調べを生む要因ですが、日本語での場合、

行の終りの一音がおなじだとしてもそれ程の効果はありません。

韻というのは、外国語の考え方だと私は思っています。


元々日本語において、地の文とうたとを区別するのは

五音七音の繰り返しでした。

音数によるリズムだけだったところへ、大陸からの詩が入って来て、

平仄や韻ということを知ったのでしたよね。


確かに同じ音が繰り返されるのは心地よいですが、

一行の末尾の一音だけでは心地よいリズムを生むのは難しい。

音数がもっと多いとか、もっと近い所に同じ音があるかしないと難しいと思います。


今回のソネットでは、作品1は脚韻を意識して作られたのだろうと思います。


砂浜に打ち上げられし客船の          o

ここにかしこに錆生うも縦なる      ru

陽に灼けて雨風はげし甲板を           o

赤銅腐り朱濁り臭ひ漲る                 ru



ときめかぬわが蓄財積み入れて      te

印鑑証明戸籍簿も瓦礫あまねし       i

数多にもうち捨てゐたる国民の糧  te

ただに魂魄故郷なき明日を彷徨ひ    i  

一昨日の聴力検査、ほぼ老人性難聴に突入していました  投稿者:野口裕  投稿日:2012年 7月 8日(日)21時55分29秒

   読み上げてみても、さっぱり感じ取れないので、韻の話はすっ飛ばします。

日本語のラップの歌い手でも即興で韻を踏めるそうですから(たしか、いとうせいこう談)、感じ取るのも訓練がいるのかも知れません。


●作品1

 すごい光景です。どこかに白骨を入れたい気もします。


●作品2

 西に東に、昔に今にと舞台がめまぐるしく変転する。

「惚れてしまえばあばたもえくぼ」が、読者の息の抜きどころか。

連句をやったことのない者の勝手な感想です。


●作品3

 前半は落ち着いて読めた。

恋が出てきたあたりから句意が読み取りにくい。


●作品4

 第三連の場面転換が鮮やか。


●作品5

 誰が流血するのかをぼかしているが、有効には働いていない。


●作品6

 「眼中のもの皆」が虚子とか、「香草の名を連ねたる歌」がサイモンとガーファンクルとか、「やはらかに力士」が高井几菫とか、トロンプルイユのようにはめ込まれた語句が愉しい。


●作品7

 かすかな結節点でつかず離れず展開してゆく行と行。

それだけに三行目とか、十二行目などで読者としてはつまづく。


●作品8

 行の最後が、名詞止め、あるいは終止形が多く、次の行に乗り移りにくい。


●作品9

  作品2と同様、西に東に、昔に今にと舞台がめまぐるしく変転するようにみえるが、「団塊は五月蠅ェだけと囁かれ」とあるように、ベースは追憶。飛躍感はないが、落ち着いて読める。

 

作品について  投稿者:令  投稿日:2012年 7月 8日(日)13時43分50秒

  半歌仙は作品2、3はかたちがきれいに整ってますね。どちらにも女王が出て来てます。


作品2では、恋の座一句目「あばた」あって、次が「美肌」で、

ちょっと離れて「厚化粧」というが気になりました。


作品3は、「肖像画より口が大きい」というちょっと笑う句もあり、いろいろ盛り込まれています。

水琴窟の音にその闇を思いつつ聞き入るところから始まって、大きな空で終っているのもいいですね。


半歌仙の作品7と9は、発句が素敵です。

それなりに夏立っている部屋の隅   作品7

いのちとは水母日和の波間かな    作品9


9は最初の方、漱石、ロンドンと流れ、草田男が出て来てますね。

ゆかりさんのおっしゃってる、「つまを抱かな」は


 妻抱かな春昼の砂利踏みて帰る    草田男


ですね。「せつなひです」は、これも誰かの言葉のような気がして読みましたが、

誰なのかは解りません。

それからダーウィンが出て来て、人名が実際に出て来てるのはこれだけですが、

隠されているので沢山という気がしてます。

 半裸なる火噴き男へ銭を投げ

という句、火鉢の中へ入れておく火噴き達磨のことだと思うけれど、面白い冬の句。

花の座で「それから」とあると、また漱石と思ってしまって、全体が漱石づくしなのか??と思ったり。

例えば釘打ち付けてある貸本屋とかも漱石の何かの一場面だろうか、とか。


作品7は形式に拘らず飛び跳ねている感じ。句がそれぞれ面白いです。


作品6は、詩ですが、展開が歌仙の匂いがしました。  

ああ、もう昼  投稿者:ゆかり  投稿日:2012年 7月 8日(日)12時07分42秒

  ええと、皆さんも全作品鑑賞お願いしますね。「選なんて野暮なことはやめて」というのは選ぶのをやめるだけで、なんらかの論評はお願いします。  

こんなものが  投稿者:ゆかり  投稿日:2012年 7月 7日(土)22時01分40秒

  ヤフオクに…

http://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/162144735  

●作品9寸感  投稿者:ゆかり  投稿日:2012年 7月 7日(土)20時25分3秒 編集済

   くらげを漢字では海月とも水母とも書くが、「いのちとは」と切り出した以上は水母だろう。第三からは「坂の上の雲」「子規」「漱石」「ロンドン」「ハンプティ・ダンプティ」と連想が続く。「つまを抱かな」「せつなひです」のあたりは故事があるのかも知れないが、不明。「団塊は五月蠅ェだけと囁かれ」「微塵子遺伝子約三万」の字面の運びは絶妙。

花の座の前から水系をたどって発句へと円環をなすまとめ方は手練れの仕事である。  

●作品8寸感  投稿者:ゆかり  投稿日:2012年 7月 7日(土)20時05分5秒

   文語定型ソネットとは言うものの、独吟半歌仙を目指した痕跡もあり、五七五、七七の反復で、五句目が月の座、挙句の前が花の座となっていて、ハイブリッドな味わいがある。

最終連がきわめて叙情的で、ロキソを飲む人体は詮ずるところ過ぎゆく時を終う抽斗に過ぎないという気がしてくる。「月光は喰らうものとぞ犬のこゑ」「家ぢゅうを圧す紙おむつ雪積もる」は独立した一句としての力も感じる。

 余計なお世話かも知れないが、仮名遣いまでは新旧ハイブリッドにしない方がいいと思う。  

●作品7寸感  投稿者:ゆかり  投稿日:2012年 7月 7日(土)19時46分56秒

   独吟半歌仙と銘打ちながら、まるで口語自由詩のように余白を生かしたエクリチュールがすばらしい。形骸化した懐紙式を無視した大胆な月の座の移動も目を見張る。かと思うと、独吟でありながら座の文芸の性格を保持した「もたれているのはいつも噴水」の引用、連句のルーティーンを無視した「いつも」「ずっと」「洗っても」「空」のリフレイン、「もたれて」「もっと」「持っている」といった音韻的なグラデーションなど、自由な発想に満ちている。挙句の「空を捲れば宙降りてくる」がすばらしい。  

●作品6寸感  投稿者:ゆかり  投稿日:2012年 7月 7日(土)19時23分6秒

   五七五、七五七を交互に繰り返す文語定型ソネットで、最後を七七とすることにより最終連は短歌とも読めるようになっている。メロディと歌詞のずれ(けふまで二人は恋といふ名の/旅をしてゐたといへるあなたは/年上のひと美しすぎる…のような)のようなリフレインの具合をどう受け止めるかは、読者によって意見が分かれるところであろう。逐語的な意味の伝達は放棄しつつも、神州、力士、奉納といった語彙が世界を限定しようとしている感がある。  

●作品5寸感  投稿者:ゆかり  投稿日:2012年 7月 7日(土)19時08分15秒

  五+七五×12+七七、空白行なしの体裁はソネットというよりも長歌の趣がある。とはいえ、このハードボイルドな一篇を逐語的に理解するリテラシーを私は有していない。最終行「骸の主に届くや否や」とは、何が届くや否やと言っているのか。「眉間めがけた一刃」か。すると、眉間をめがける前にすでに骸となっているのか。  

●作品4寸感  投稿者:ゆかり  投稿日:2012年 7月 7日(土)17時59分4秒

   擬古典であることをそのままタイトルとした文語定型のソネットである。

第一連は抒景。第二連は幾分叙情的に図書館の本を提示。第三連は図書館の本を機に知の世界へ転じている。

第四連は結句として、現在の自分に帰ってきている。起承転結をはっきりと打ち出し、自ずから文語定型への詩観を主張していると言えよう。  

●作品3寸感  投稿者:ゆかり  投稿日:2012年 7月 7日(土)17時42分23秒

   歌仙のルーティーンでは付句間でのリフレインができないことによっても、巻全体が叙情詩的性格を持ちにくいと言えるだろう。できることといったら、せいぜい一句の中での反復による誇張くらいが関の山である。「水琴窟の闇に水」の「水」の反復は、読みが異なるのだから厳密にはリフレインとは呼ばないかも知れないが、紫陽花との取り合わせによって、季節感を印象づけている。

 脇は脇らしくなくオープンな作りとなっているため、第三が転じの役割を放棄して、脇に寄り添うように付ける自在な展開となっている。このあたりの呼吸の自在さはもしかすると独吟ならではの味わいかも知れない。

 歴史上女王から爵位を賜った海賊がいるのか不明にして知らぬが、いかにもありそうなことである。奇しくも裏三句目に「ほら吹き」が出てくるが、円盤といい、花の座の「丼に酒を注ぎあう」といい、全体に虚実定かならぬ豪快な展開が心地よく、挙句もその気分を継承している。

 自他場という観点でいうと、明確に自と言える句がないとも言えるが、それでも支障なく巻けることを示しているとも言えよう。  

●作品2寸感  投稿者:ゆかり  投稿日:2012年 7月 7日(土)16時47分16秒

   「女王即位六十年」という時事的な話題を発句とした半歌仙である。

第三の転じ方がよい。「月の宴」はやや打越に障るか。肌の曲がり角から迷子に転じるあたり、いかにも典型的な連句の手法である。

「うるう秒」というこれまた時事的な話題をピボットとして陰陽師からマヤの遺跡に転じるあたりも手慣れた感じがある。

「石舞台」は飛鳥の固有名詞だとしたらマヤの遺跡の付句としては強引だろう。マヤの遺跡の施設としての石舞台と読んだら、今度は花篝が唐突だろうか。

もしかすると前者の強引さをご破算とするべく、挙句で「古今東西」とまとめようとしたのかも知れない。  

●作品1寸感  投稿者:ゆかり  投稿日:2012年 7月 7日(土)16時19分48秒

  第一連は叙事詩というか客観写生というか、いずれにせよ主観を抑え描写している。

第二連は空白行によって転じ、批評性を帯びているが、「わが蓄財(たからもの)」と言ったかと思うと「国民(くにたみ)の糧」であったりして、実務的な意味は失われている。

第三連はまたしても空白行によって転じ、言葉遊びを交えつつ、廃船は幻想の中で現在進行形でなんらかの稼働をしている。

若干のリズムの混乱に興の高まりを感じる。  

おはようございます  投稿者:ゆかり  投稿日:2012年 7月 7日(土)10時51分52秒

  「激安質店-高級品市場bagjq」の書き込み、掲示板会社によって削除されたようで、流れが分からなくなってしまいましたが、楽しかったですね。話を元に戻して、作品1から作品9までがんがんコメントしますね。

 あと、連句、私が止めていたのですね。こちらも後ほど…。  

ガガミラノ偽物コピ-ガガ  投稿者:七  投稿日:2012年 7月 6日(金)17時31分41秒 編集済

  偽レディガガミラノに出没!かと、思うはずないが、ガガって、ブランドがあるのか。しかしこの渋い板にたびたび登場する「激安質店-高級品市場」の広告!面白いねえ。この板の誰よりも詩人かも(^^;)ヽヽヽ偽物をコピ-したら、もっと、モノホンに近づくのか、より偽物になるのか、ちかごろのコピ-は技術が良くてモノホンよりすばらしかったりするですよ~~(^^;)

レディメイドちゅうか、ブランド名をただ沢山並べるだけでも、余白ちゅうか視覚的に詩的に感じられたりすることってけっこうありますね。美術家が器物をとにかく沢山並べる。それだけで世界への見方を変えられる!などとマジで思っていた時代もあったみたい。


半歌仙もソネットもワタクシみないい加減。どうせなら、もっと意味などないところに逝ってしまいたいが、ムズカシイのよね、やっぱし。ま、ご笑止、ご笑止。


ウチの方、今夏赤トンボの群舞が凄いのですが、他県はどうなのでしょう。

http://soup-stock7.blogspot.com/


 

野口さんに言われんうちに。。  投稿者:銀河  投稿日:2012年 7月 6日(金)00時37分13秒

  どうも いろいろ文字を・・まちがっちゃうねえ、目が霞んでしまってるのに、大急ぎで書き込むものだから。。


以下

ワリオtデタラメのがるように、とか。

提携詩、とか。

徹底開削 とか。


それなりに、意味をとってください。ごめんなさい。  

投稿作品、面白いけど  投稿者:銀河  投稿日:2012年 7月 6日(金)00時16分19秒

  投稿された、新体詩ソネット、と半歌仙はいかにせん。

大阪府立図書館まで行って、岩野泡鳴の新体詩の作法をコピーしてきて、今日から読んでいます。今頃から泥縄ですけど。(-_-;)明治40年、、、ずいぶんいろんな型があるみたいです。

岩野泡鳴、って半獣主義の恋愛ばかりじゃなく、詩の理論家だったのね。


投稿の詩篇どういう風に脚韻を置いているかが気になりました。ワリオtデタラメのがるように思いましたが、


abab. ccdd effe, など、全くでたらめなのも・・みたいな感じですね。今までこんなことに気を止めなかったのでおもしろかった、


内容は、自由詩と同じくそれなりに動かせますよね。逆に提携詩である必要がないみたい。


付記、


さいきんでた、山田兼士詩集『家族の昭和』は、発表当時はイギリス式ソネットでかかれているのを、徹底開削したものです。初出の詩篇(4,4,4,2.口語体)

も参考にあげていますので、一度気読んでみられたら?


マチネポエティック詩集。(昭和58年 思潮社)の押韻定型詩の試行は。その時は、てんでわからなかったけど、今の問題意識で読むと、なかなかいい本です。


 

教育的指導(笑)  投稿者:まにょん  投稿日:2012年 7月 5日(木)23時25分33秒

  かなあ。なんともネットの殺伐とした世界では希有な例かも。

楽しいですよ、とっても。

連句どうなってるのかなあ。  

まったく  投稿者:ゆかり  投稿日:2012年 7月 5日(木)22時43分10秒

  私たちの誰かが「激安質店-高級品市場bagjq」を名乗っているとしか思えないくらい、ここの進行を理解したできばえですよね。  

((((;゚Д゚)))) ,(^0_0^),  投稿者:銀河  投稿日:2012年 7月 5日(木)14時45分26秒

  大分 調子が ととのってきたわ。(^^♪  


日常語(散文)→詩  投稿者:銀河  投稿日:2012年 7月 3日(火)11時27分17秒

  日常の言葉に「繰り返し」などの規則性をもたせるのが、詩の始まり、ということでしょうか。

作ってみてルールの煩わしさを痛感しつつ、ヤケのヤン八でに字数を数えていまして・・・。

757繰り返しがいつのまにか、くずれて、切れ目がわからなくなっ

たり、ね。


このなかで、いちばん、新体詩風現代詩になっているのは、「偽物=こぴー」の14行詩・・。モチーフの羅列によって、余白に見え隠れする「風刺」の気配から来るのでせうね。

 


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